内容説明
東京下町で激動の昭和を生きた最後の写真師工藤哲朗とその一家の物語。二・二六事件、真珠湾奇襲、敗戦、復興。類まれな好奇心で時代を先取りした写真師の日々に、昭和が二重写しにされる。時代の荒波に翻弄されながらも、かたい絆で結ばれた家族が生き抜いた昭和とは。講談社ノンフィクション賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
barabara
7
ミヨラーなので外せなかった。写真豊富で楽しい。またよく撮れているので分かりやすい。それもそのはずノンフィクション作家工藤美代子の母方の父親は下町で力士や新聞社などに愛された、知る人ぞ知る写真館を営んでいたのだ。小出し情報は今までの著作からなんとなく知っていたが、ここに来て一気にストンと明らかになり、多人数の思い入れあるキャラクターと、押さえるところは押さえるノンフィクションの基礎をしっかり全うした読みやすい文章を堪能。まだまだ元気で沢山の作品を発表してほしい。2015/06/11
スターリーナイト
1
2021-1062021/12/30
吉田 耕一郎
0
普通の一家の昭和と戦争、そしてその結末を淡々な文章で描く。両国が舞台なので、双葉山を中心に相撲界の描写がいい。そして田舎の鬱屈とした現実。家族内それぞれの個性。作者の父親がベースボールマガジン社の創業者なのは親近感を持った(同社は野球の他相撲やプロレスの雑誌も出している)2016/04/10