内容説明
早朝の教室で、高校生中町圭介は死んでいた。コピーの遺書が残り、窓もドアも閉ざしてある。しかも異様なことに四十八組あったはずの机と椅子が、すべて消えていた。級友工藤順也がその死の謎に迫るとき次々現れた驚愕すべき真相とは?精緻な構成に支えられた本格推理の力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
285
法月綸太郎さんの記念すべきデビュー作の青春学園本格ミステリの力作ですよ。本書の語り手は高校三年生の男子・工藤順也で担任の教師・大神が巨漢である事から美食探偵ネロ・ウルフと大神=狼を掛け合わせて密かに自分だけの綽名「ネロ」と名付けるのですね。彼はクールなタイプですがミステリマニアで鋭い頭脳の持ち主の名探偵役です。本書の謎解きの肝は自殺者の居る教室から48もの机が消失していた謎でミステリ通をも唸らせる大掛かりで魅力的な趣向ですね。でもこれはハウダニット(手段)ではなく、ホワイダニット(理由)の問題なのですね。2022/04/30
とん大西
116
このミス1988第8位。密室殺人、クラス全員の机と椅子の消失、フーダニット、ホワイダニット。てんこ盛りの本格推理はそれなりに楽しめましたが…。正直なところ、まわりくどくて、まどろっこしくて、消化不良気味。当時は本作のような展開がスタンダードだったのかもしれません。アップテンポな最近のミステリーに慣れてしまってるのか、ちょいと相性がイマイチでした…。 2020/02/23
ばりぼー
75
25、6年ぶりの再読。密室状態の教室内で高校生が死亡、しかも教室内の48組あった机と椅子がすべて消えていたという不可解な謎をクラスメイトが探偵役として解明する、法月綸太郎氏23歳のデビュー作。「作家は処女作に向かって成熟する(亀井勝一郎)」と言われますが、思いっきり気負いは見られるものの、奇抜なトリックに精緻なロジック、終盤の畳みかけるような二転三転する情け容赦のない展開など、本格としての骨格が整った力作です。「チャイナ橙の謎」への愛が存分に感じられ、発情したモリアオガエルのように興奮しました(笑)。2015/11/12
Tetchy
57
章多すぎ!あと本作のようにヒネた高校生はいるが、ハードボイルドを読んでいるヤツなんていないから!なかなか読ませてくれたけど、ちょっと力入りすぎかなぁ。2009/01/09
ダイ@2019.11.2~一時休止
49
デビュー作。ノーカット版も読んだが違いがよくわからなかったんで、カットして問題なかったでしょう。2013/09/29