講談社文庫<br> 二十歳の火影

講談社文庫
二十歳の火影

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  • サイズ 文庫判/ページ数 196p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061830592
  • NDC分類 914.6

出版社内容情報

【内容紹介】
父の仕事の関係で、大阪の下町から雪深い富山に1年間移り住んだ幼い日の思い出、新設大学でコートづくりから始めた硬式テニス部での日々、父の事業の失敗と死、広告代理店でのコピーライターの仕事、そして文学へのめざめ……『螢川』で芥川賞を得た著者が、瑞々しい感性で自らの青春を綴るエッセイ集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ろくせい@やまもとかねよし

155
創作ネタである実体験の赤裸々な随筆集。三十路で綴られたこの生き様。五十路の私が今知れたことに大変な幸福感。巻末の田辺聖子さんは「見のがせぬ本」と表す。幼少期の不条理に満ちた社会の記憶。しかし、そんなこととは無関係であるかのように露わにされる人間の喜怒哀楽。宮本さんの挑戦は、きっとこの情緒を言葉で表現すること。真摯に向き合い、心身を捧げ、未だ追い求める姿勢に大きな感動が。人の心を動かした出来事の写実的表現は、必ずしも感動を伝えない。心を取り巻く自然の時空間、生死を問わない他者とが織りなす偶然な共鳴だろうか。2021/01/04

新地学@児童書病発動中

126
宮本輝の第一エッセイ集。素晴らしい内容で、読みながら涙がこぼれたこともあった。宮本輝が人生の途上で出会った人物や風景を陰影深く描いており、その筆によって切り取られた生の断面は読者の胸の中に鮮やかに刻み込まれる。特に『流転の海』の主人公になった父のことを描いたエッセイは深い感情がこもっており、宮本輝によって父親は特別な存在であることが分かった。文学のテーマは「人間とって、しあわせとは何か」であると答えた若き日の宮本輝の理想は、その後の小説群に生かされていると思う。2015/03/24

zero1

70
芥川賞の「螢川」や「泥の河」のルーツがここにある。古いエッセイを約30年ぶりに再読。父の事業失敗と精神病院での死は自伝的大長編「流転の海」シリーズに繋がる。母の労働と広告代理店でのコピーライターを経て作家に。文学のテーマや【抑制と省略】は何度でも読みたいし、彼が芥川賞選考委員として常に求めていたもの。競馬や肺結核での入院も作品に描かれている。巻末には田辺聖子が【魂の疼き】という一文を寄せている。2022/05/22

美雀(みすず)

43
宮本輝先生の初期エッセイ。自身の幼い頃から肺結核で療養した時期の事が書かれてある。蜥蜴の話はノンフィクションだったなんて驚きでした。なんとなくその頃発表された作品が想像出来ますね。2016/04/11

James Hayashi

14
宮本輝のエッセイ集。若い時は時代背景もあるかもしれないが、結構苦労されている。それが彼の人為の肥やしとなり、あの素晴らしい文体になっているのだろうか?経験も必要だろうが、感受性は作家にとってもっと重要なものであろう。10点満点中6点2013/08/30

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