内容説明
ある日ある朝、西暁町で、十四歳くらいの僕が馬から生まれる。記憶も名前もない。でも名前なんかいらない、と僕は思う。自分が誰だってどうでもいい…のに、正彦が僕を弟にする。それからヒトとしての生活にようやく馴れてきたところに蛇に乗る少女楡が現れ、僕を殺人現場に誘う。冒険が始まる。失踪した父親。地下密室。獣の大革命。そして恋。混乱と騒動の中、僕は暗い森を駆ける駆ける駆け抜けていく。舞城王太郎が講談社ノベルスに舞い戻り投下する、新しい小説。
著者等紹介
舞城王太郎[マイジョウオウタロウ]
1973年、福井県生まれ。2001年、『煙か土か食い物 Smoke,Soil or Sacrifices』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。2003年、『阿修羅ガール』で三島由紀夫賞を受賞。『好き好き大好き超愛してる。』『ビッチマグネット』で、二度、芥川賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
87
初期の『煙か土か食い物』『阿修羅ガール』『世界は密室でできている』以来の久しぶりの舞城。文体に圧倒されて、好きな作家だったんだけど、長いこと手に取っていなかった。文体は落ち着いたな。畳み掛けるような疾走感はなくなって、普通になった。設定もキャラの魅力もあるんだけど、ちょっと尻切れとんぼの感が。『ひそねとまそたん』かと思った。大きく広げた風呂敷を畳み損ねた。正彦は好き。2018/07/05
PSV
69
弾けMAIJO。凄いことはわかる、舞城王太郎にしか書けないこともわかる。毎回暴走してて着いていけないのだが、やはり今回も着いていけなかった(笑)でも、ここまで酔わせてくれる疾走感や、臨場感や、あるいは迫力は、やっぱりMAIJOにしか出せないのだと思う。地下の話やピノキオの見たてや、ラストの超展開は振り落とされないように着いていくのに必死で、やっぱり振り落とされた。全体的に、ミステリ要素を入れる必要は感じなかった。自分探究の成長物語としてはかなりのレベル。 ★★★★☆2012/07/19
昼と夜
20
アイデンティティがぁなぁあい、生まれなぁい、ララララ~♪と言おうとしたら先駆者さんがいらっしゃいました、どうも二番煎じです。自分探し一級の成雄シリーズ第三段。真面目に自分を探すかと思いきや、やはり壮大な与太話に。『あんまり自分のアイデンティティなんか気にすんなや。』『秩序は権利を制限することから生まれるのだし、秩序を守るということはその制限を受け入れることなのだ。』まさかこのタイミングで秩序について舞城から説教うけるとは思わなかったよ。三郎イェーイ!!2012/09/15
吉野ヶ里
19
波のないタイプの舞城。完成度が高い。勢いで書いて、よくこれだけのもんを作れるなと思う。少年マンガみたい。ボアダムズの名前の説明などの遊び心の部分が最高。ただ、完成度が上がったぶんだけ、いつもの脳みそから直接しぼったような感じは受けなかった。いっぺん思考を通した印象。おもしろかったが、もう一度読もうとは思わない。2014/07/02
はま
16
馬から産まれた馬太郎。舞城王太郎は元気に相変わらずでした。でも今までに僕が読んだ舞城は『愛』でした(多分)。これは何だろ?成長?自分探し?まぁなんでもいいや面白いし(笑)ほんでまーあんな感じで終わったんだけど『山ん中・・』が続き~とかそうゆうのないんかな?ないんだろなー。残りページが少なくなった時に、三郎イエーを思い出しちゃったよ^^;とりあえず次は『山ん中・・』かな~。2012/09/14