内容説明
終戦後まもないクリスマスイブ、安宿で片腕の男の死体が見つかった。容疑者の中国人女性・玲蘭は彼の情婦をも殺し、自らも身を投げる。痴情のもつれと見られた事件の背後には、恐るべき陰謀と愛の悲劇が隠されていた。男が残した美しい旋律を手がかりに、戦争に翻弄された男女の数奇な運命が今、明かされる。
著者等紹介
連城三紀彦[レンジョウミキヒコ]
昭和23年名古屋生まれ。昭和56年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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CCC
8
動機部分、とんでもない形で戦争と話が繋がるのが面白い。おいしい箇所の見せ方が上手い。2021/06/04
シアン
7
(図書館本)戦後に起こったある殺人事件から物語は始まる。壮大なスケールの物語と、知識がないと絶対に解けない暗号、複雑な人間関係…。展開はなかなか面白いのだけれど、推理する楽しみはあまり得られなかった。また、冒頭の比喩の多い背景描写は読みにくくて苦労した。2015/06/03
fengui
5
米澤穂信さんの紹介していた本を読んでみよう、2冊目。 連城さんの作品は数冊読んでいますがこれは…というかこれも…すごかった。 歴史に翻弄された哀愁と譜面の謎と。 ううん、私の語彙力では言い表せない。2020/12/07
造理
3
★★★☆☆ 戦時中のある軍人、ピアニストに纏わる物語。ミステリとしては暗号が大きなテーマとなっていますが難解すぎて解決も飛ばし読みしてしまう有様でした・・とは言っても事件の壮大な構造は驚かされましたし、戦争に対する連城氏の思いが乗り移ったようなセリフは心に響きました。2018/05/02
はんげつ
3
えぇー…ちょっと、凄すぎる。“戦争を背景にした”(傍点付き)、驚愕という言葉すら生ぬるいほどのすべての真相と愛憎の構図が明かされる部分を読み進めている時は、顎が外れるほど大口を開け、裂けんばかりに目を見開かないではいられなかった。この凄まじさは、マイ連城トップの「戻り川心中」「花虐の賦」を超えているといっても決して過言ではない。解説の米澤穂信が言うところの意味とは違うが、作家でもない自分が凄すぎて怖い気持ちになるというのは凄いことなのではないか。(凄いしか言ってない)2017/07/19