内容説明
「認識論的切断 coupure ´epist´emologique」とは何か。『マルクスのために』『資本論を読む』でマルクス研究を一新し、フーコー、デリダ、ブルデュー、ドゥルーズらを育てたルイ・アルチュセールは、精神的肉体的苦闘、あるいは自身の「認識論的切断」を経て、いかなる地平に到達したのか。その思想的全生涯をもれなく論じた、第一人者による決定版。
目次
プロローグ 破滅型の思想家
第1章 学問への旅立ち
第2章 内容と真空
第3章 カトリシズムとマルクス主義
第4章 重層的決定の概念
第5章 徴候的読解
第6章 理論的革命
第7章 イデオロギーの理論
第8章 偶然の唯物論に向けて
著者等紹介
今村仁司[イマムラヒトシ]
1942年生まれ。京都大学経済学部大学院博士課程修了。専攻は社会思想史。東京経済大学教授。2007年5月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
8
アルチュセールがマルクスを読むことで自分の思想を語ったように、今村もアルチュセールを読むことで自分の思想を語ったのだなぁ、と思わせる一冊。「一個の新しい思想の生誕は、古い「問いの構造」から別の新しい「問いの構造」に移行することである」をはじめ、今の私達の考え方のスタイルの源を見せてくれる。ヌケモレを気にさせない力を感じる。2012/11/07
高橋大輝
7
アルチュセールの思想の変遷を青年期〜中年期〜晩期に渡って書いたこの本について、限られた文字の中で紹介するのはなかなか難しい。なぜなら、アルチュセールはその生涯に渡って何度も「認識論的切断」を経験しており、彼を一面的に語るのは非常に難しいからである。それだけに、彼の思想の変遷と、一方で青年期から一貫して持ち続けた部分とを一冊の本にまとめて書いたこの本は素晴らしかった。2018/02/07
1.3manen
3
隠れた人 暗い人(28ページ~)に見えて、評者はオフレコシナリオでマスコミ人を影で笑わせてきたのであった(昨年)。アルチュセールは学生の個性を活かした教育のようだ(30-31ページ)。ヘーゲルや内容へのこだわり。人生の円環は子供と老年の円環(80ページ)。仏教の輪廻転生につながる思想に思える。戦時下の恐怖は、戦争が自分を傷つけるだろうと、自分に向かって想像する事態(128ページ)。戦争とは何か、を問う際の参考意見だと思う。世界を生きるとは、人間の生存条件を 想像的に(傍点付) 生きること(188ページ)。2013/01/01
左手爆弾
1
満足度はともかく、看板に偽りはなく、本当にアルチュセールの思考の軌跡を全般的にまとめている。アルチュセールは本来破滅型の人間であり、病が深刻化する度に、思考が一歩進んでいく。初期は真空論的なヘーゲル読解が特に問題になる。真空とは否定性であって、それを充実させ、乗り越えるという意味では積極性を持ちうる。それは他者からの承認や、臣民の抱える真空が君主によって充実させられるという社会哲学的側面とも直結する。ただし、ヘーゲルだけでは具体的な歴史の解釈にまでは至らず、そこにマルクスの役割が求められることになる。2016/02/25
aaaabbbb
1
マルクス主義哲学者アルチュセールの哲学を解説した本。内容は半分くらいしか分からなかったが、潜在的な「問いの構造」とそれを見抜く「徴候的読解」や「イデオロギー装置」など、独特の用語の意味がなんとなくわかったので、取り敢えずアルチュセールについて学べた。とは言え読んだのがかなり前なので、あまり覚えていないが。 アマゾンレビューを見ると、ラカンら精神分析学者についてのアルチュセールの言説が殆ど触れられていないので、全哲学とは言えないようだ。 それにしても、やはり哲学関係の書は難しい。2011/05/09




