内容説明
中国古典詩の最高峰といわれる唐詩。本書では、唐詩が作られた七世紀初めからの約三百年間を初唐・盛唐・中唐・晩唐の四つの時期に分け、それぞれの時代状況と詩の関係を考察する。
目次
序章 唐という時代とその詩
第１章 唐詩の源流―古代歌謡から六朝詩まで
第２章 初唐の詩―六朝詩より唐詩へ
第３章 盛唐の詩―唐詩の頂峰
第４章 中唐の詩―唐詩の中興
第５章 晩唐の詩―夕陽無限に好し
附章 唐詩の韻文形式
感想・レビュー
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bittersweet symphony
3
世界最古の韻文形式である漢詩の複雑な形式が確立し表現も飛躍的に多様になった唐の時代の詩を通年形式で纏めたもの。著者は京都大学を出て各地の大学を歴任、東北大学の名誉教授になった人のようです。講義をする上で唐詩の概論書が少なかった事が執筆の動機なため、入門書・概論書の形になっています。科挙の科目に詩が入っている事が個人的に釈然としていなかったのですが、本書に出ていた平仄(へいそく)の配置のルールをみて納得。 2005/07/04
in medio tutissimus ibis.
2
唐代の詩人はまた、国家を運営する士大夫でもあった。科挙の制度も定着してしばし、殊に人材登用に熱心であった武則天の代からは寒門から成りあがるものも多く出で、彼らは例外なく高名な詩人だったのだ。彼らの多くは政治に深く関心を持ち、その詩情をもって就職活動をしたり政権批判をしたり、あるいは内戦によって荒廃した国情を詠みもした。今日知られる唐詩は『唐詩選』によるものだが、これは初唐から盛唐までに偏ったものであり、中唐や晩唐の詩も併せて唐詩とし紹介する。個人的には抒情詩より寸鉄人を刺す批判的な詩の方が判り易くて好き。2019/02/15
