内容説明
鉄をぬきにして世界史を語れないように、羊を無視した文化史は正しい人間の歴史ではない。人間の傍にはいつも羊がいた。口腹をみたす食物、寒暑をさえぎる衣料品としては勿論、時には贖罪儀式の贄として、また商工業に巨万の富をもたらす商品として。新大陸発見の背後には羊毛貿易で蓄積された財源があり、近世の開幕を告げるルネッサンスの母は、いうまでもなく羊毛工業であった。人間の歴史の内なる羊毛文化の全体像を描く異色世界史。
目次
第1篇 牧羊の起源
第2篇 羊毛をたずねて
第3篇 毛織物の文化
第4篇 沙漠の芸術「じゅうたん」
第5篇 ルネッサンスの導火線
第6篇 英国の目覚め
第7篇 近代化への道