内容説明
カミと神と、どちらを選ぶべかということではない。人類が長い歴史の間に信仰しつづけてきた神の姿を尊いと思い、しかし同時に山河大地、草木虫魚としてわれわれをとりまき、その中から突然、カミとしての姿を現すアニミズムのカミ。そのカミをたずね、カミと出逢うためには、自然に対する原始の感情をもちつづけること、宇宙に開かれたカミの窓をもつことではなかろうか、と著者は説く。原初のカミを探求する独創的な人類文化論。
目次
1 カミをたずねる旅―序にかえて
2 菩提樹のもとで
3 空からの眺め
4 神々の地平
5 神のトポロジー―カミ以前・カミ・神・神以後
6 地球マンダラを目ざして
7 見えない椅子―あとがきにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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20
*民族学*神話・天皇ネタの小説読解の為読了。宗教法人の神と太古のカミの最大の相違点。それは有体に言えば、アイドル(偶像)としての分かり易さである。そんな神に対して、山河大地や草木虫魚として存在し、その中から突然、姿を現す原初のカミを丁寧に解説する――神の定義について、神道では『尋常(よのつね)ならず人の及ばぬ徳(こと)のありて、畏(かしこ)きもの』と定義されてはいるものの、結局は『人間には良く分からないけど、優しくて、凄い存在』とほぼ、理解追及を諦めている様な状態・・・。 ⇒続き2013/07/10
テツ
15
人間が森羅万象を畏れ憧れるきもちから生まれた超越者であるカミと、人間が他の人間を救うシステムの根底を為す存在として創られた神。そうしたカミと神の違いについて。この世界にはカミが溢れていた。空にも大地にも人を取り巻く全てにカミを見出だすことができた時代というのは確かにあった。人間の発明品としての神は2020年になっても未だにこの世に座していて確かに素晴らしいものではあるのだけれど、カミの存在を感じる瞬間は皆無だと言ってもいい。両者の違いを明確に知ることがぼくたちの中でカミを蘇らせるただ一つの方法だと思う。2020/08/11
かずら
3
名前のない感覚としての「カミ」と、信仰というシステムの中にある「神」について。民俗学のロマンをそのまま文章にしたような本でした。発想は面白いし、美しくて、本当にこうだったらいいなと思うのです。ただ、理論として納得できるかと言われると微妙です。「学問」であるならば、もっと理論武装してほしいです。こういうことを考えてしまう私のほうが現代っ子なのでしょうか。でも昔の日本の民俗学ってたいていこういうノリですよね。2014/03/06
垣内美希
1
ちょこちょこ読んだり何カ月も中断したりして1年くらいかけて読み終わったと思う。視界が開けるような感じで良いです。2015/04/25