感想・レビュー
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てれまこし
3
支配階級になり切れなかった日本の町人たち。それでも自分たちの都市では主である大阪人とも異なり、江戸町人は自分たちの街でさえ田舎者に乗っ取られて、次第に隅田川の向こうに追いやられていく。如是閑は自らを権力に無縁であった階級の知識人と位置づける。他人を押しのけて立身出世を目ざすには洗練されすぎていて、斜に構えて世を見ている。時代の流れに背を向けて好事家的な趣味に耽ったりする。何より権勢を張っていばる田舎者をげじげじのように嫌う。これが漱石から、『こち亀』の秋本治、北野武にまでみられる江戸っ子知識人の気質である2019/08/21