講談社学術文庫<br> 更級日記 〈上〉

講談社学術文庫
更級日記 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 218p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061581722
  • NDC分類 917.36

出版社内容情報

【内容紹介】
『更級日記』は、幼いときから文学にあこがれていた平安の一女性が、晩年、一生を省みて綴った幻想的な日記である。上巻は--十歳ごろ地方官の父に伴われ上総に下って、つれづれな明け暮れの中に文学に心を奪われる--父の任が満ち作者一族は長い苦しい旅の末、京に帰り、ようよう得た物語を夢ともうつつとも読みふける--父は再び任官、遠国に発ち、作者は母と京に寂しく残る。やがて父は帰京、老いた今は作者一人を頼りきる(上下二巻)。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

spica015

7
名も知れぬ一人の女性が書き記した日記。回顧録といった方が近いのだろうが、平安時代のことを綴ったとは思えぬほど瑞々しく映り、親しみさえ覚えてしまう。父の任地・東国から文化の中心である都へと上り、源氏物語をはじめとする物語の世界に憧れた少女時代。この物語に耽溺していた様子を、後年若気の至りと思い返すところも面白いし、信仰への関心が薄いのも率直で好ましい。そしてその間に挟まれる自然への賛美や親しい人たちとの別離の悲しみもしみじみとした趣で、感慨深いものがある。2019/10/25

azimuth

4
全体的に文が平易かつ明瞭、語彙もやさしめ。上巻は幼少から青春期。別れと、「物語」傾倒、自然愛が主要素。乳母に継母に姉に猫に父に…と離別に離別を重ね、家は焼けるわ父は出世しないわ婚期は逃すわ、と相当に苦しい実人生を送っており、それが物語耽溺に拍車をかけたのか。有名な「后の位もなににかはせむ」をはじめとして物語好きを共感させる描写が鏤められているが「そうやって幻想にかまけてばかりで、仏様の言葉に耳を傾けもせず本当に呆れたことでした」みたいな箇所がいくつかでてきて、下巻に待ち受ける後半生はなかなかに不安。2015/02/02

Makoto Yamamoto

3
平塚武二さんの児童書の更級日記 (これだけは読みたいわたしの古典)を片手に読んだ。 内容は同じだが、私のレベルに合うのか児童書の方が読みやすく、感情移入しやすかった。 いずれにしても平安時代の貴族女性の人生を13歳のころから晩年まで書かれたいい作品だと思う。 2022/01/07

大臣ぐサン

2
「あづまぢの道のはてよりも…」で始まる導入部。美しい。興奮を覚えた。平安女流日記文学の代表作。久しぶりに音読でかみしめながら読んだ。講談社学術文庫版は原文、現代語訳、注、参考が一つにまとめられてページを行ったり来たりしなくてよいという点は便利だが、原文だけ一気に読みたいという場合は煩わしい。2019/03/27

ドウ

2
言わずと知れた平安女流日記文学の名作。上総からの上京、乳母や姉、父との別れが歌を取り混ぜつつ淡々と記される。高校時代に断片的に読んだ話が時々入っていて懐かしい。文学作品のみならず、口伝の童話も含む物語全般への作者の想いが見え、源氏物語を読む描写には嬉しさが滲む。個人的には序盤の上京の旅路が伊勢物語の東下りの逆をやっていて面白かった。実際何度も在原業平が通った地点への言及もあったし。現代語訳、注、解説のいずれも非常に丁寧で読みやすい。2016/04/07

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