内容説明
セックスと就職と自分探し、いまと変わらぬ明治・大正。
目次
「能力」とは何か
進化論と優生学
なぜ「社交」が必要だったのか
社交場としての博覧会
不純な男女交際
男は神経衰弱、女はヒステリー
性慾を研究する時代がやって来た
学生という階級
青年たちのハローワーク
「堕落女学生」は世間が作る〔ほか〕
著者等紹介
石原千秋[イシハラチアキ]
1955年生まれ。成城大学大学院博士課程中退。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学。いわゆる「受験国語」にかんする本も多く著している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こぽぞう☆
18
「雑書」という立場が面白い。著者が夏目漱石の研究者なので、「雑書」と漱石(とあと何人か)をからめる。いやー百年前の女の地位の低さよ。そして、著者はちょっとばかり、フェミニストから嫌われるタイプだな。2019/10/04
たくのみ
10
近代の初期の文献に見る当時の世相を読み解く。歴史書でも文学でもない「雑書」のエキスパートが分析する明治時代。進化論の誤解、婦人への差別、性・病気への誤謬。だが、しっかりと生きていた庶民。「自我」すら危険思想の時代、猥雑な世相の中にこそ明治の本当の姿が見えたような気がした。2014/03/04
イワハシ
5
夏目漱石研究者による明治大正期の雑書案内。「大衆」を描こうとする視点が面白い。大衆の思想は雑書にある、というのは、きっと今も同じで、ひとの考えることは今も昔もあまり変わらないということがわかる2023/06/04
ゆたか
4
私たちは2000年代初頭の観点から、百年前を笑う。しかし、百年後の「私たち」が現代の雑書を読んで何を思うのか。現代の言説にも相当おかしなものはあるはずである。2012/04/16
おらひらお
4
2007年初版。100年前の雑書から当時の考え方を振り返ったもの。なかなか知りえないことも知れた。ただ、今日刊行されている本にも、現段階で???というものもあるので、当時としての位置づけの確認も必要でしょうね。昔の雑書一冊5000円から数万円。それが2000冊程度(一部コピー含む)。雑書ほど時間とお金がかかるみたいです。2011/10/15