講談社文庫<br> さらば、夏の光よ

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講談社文庫
さらば、夏の光よ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 234p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061317833
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報



遠藤 周作[エンドウ シュウサク]
著・文・その他

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

127
メロドラマのような三角関係を描く長編小説。親友の南条の恋人戸田京子を密かに想い続ける、冴えない男野呂の胸の内が切ない。南条が死んだ後、妊娠してしまった京子の名誉を守るために、野呂は結婚を申し出て受け入れられるのだが、京子は野呂に心を開くことができない。不器用な愛情で京子を支えようとする野呂に、イエス・キリストの姿を重ねて読んだ。この世に生きている間は、野呂のような(そしてイエスのような)純粋な愛情に気づくのは、難しいことなのかもしれない。美しく、気高く、重い主題を投げかける素晴らしい物語だった。2015/08/23

優希

94
とても悲しい物語でした。善意や誠意があっても「愛」は残酷になりうるのですね。不器用が故に一人の女性に尽くしながらもその想いは報われない。いくら愛していても親のため、お腹の子のために結婚という選択をし、その愛を手放さなければならないときもあるのですね。自分では変えることのできない運命。愛の孤独と絶望を優しい眼差しで描いているように感じます。そこに人の人生も見据えながら。2017/07/09

ばりぼー

59
およそ30年ぶりの再読。初読の時の衝撃が蘇りました。チビ・デブ・のろまな野呂が密かに恋する女性を、友人のモテモテ南條があっさり自分の婚約者に…。炙り出しのラブレター(笑)などというアホな発端で、軽い通俗小説を装いながら、人間のエゴイストぶりを嫌悪感たっぷりに浮き彫りにし、深く重くグイグイ迫ってきます。見かけで人を差別してはいけないというのは大人の「良識」であって、現実には容姿の醜さは人種や出自以上に手軽に差別のネタにされるもの。読後込み上げてくる、この冷たい怒りのような感情の塊を持て余しています。2015/07/26

優希

58
残酷で悲しい物語でした。善意や誠意があっても「愛」は堕とすところまで堕落させるのです。不器用だからこそひとりの女性に尽くすものの、その想いが伝わらないのに胸が痛みました。愛があっても親のため、お腹の子のため、望んでいなくても愛を手放し、結婚という道を選ばなければならないのは、変えられない運命と言えるでしょう。優しい眼差しながらも愛への孤独が刺さります。2022/11/23

ω

40
しんみり…。キリスト教は出て来ず、三角関係的な内容だけど何か分かる…。。善意って、その人が見てくれが良いか悪いかで捉え方変わると……生理的に無理とか読んでて傷つくワァ…。゚(゚´ω`゚)゚。2024/04/14

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