出版社内容情報
もう一つの世界へと誘う白い雪、遥か宇宙を超えて地球に届く素粒子の燦めき──。
これを見るために、おれの眼はある──。
死と生、愛と憎悪の葛藤のなか、生き延びるために遺された者が自ら選んだ超越体験。この世ならぬものを心に想った二人の男が、二つの星をめざした短篇集。
『星に降る雪』
岐阜。かつて雪山で起こったあの事件。記憶を封印するかのように、田村は、山奥の観測所にこもり働いている。ある日、亡くなった親友の恋人が訪れ、二人は山に登る。あの時、何があったのか。記憶は、白い闇だ――。
『修道院』
クレタ。ふらりと島に現れ、村に住みついた石工。彼は、修道院の修復をしながら、寡黙で質素な生活を送るが、ふとした折に告白する。自分は魂に重い荷を背負っている、と。その夏の日曜の午後、馬車に乗った都会の女が村に現れ――。
内容説明
男は雪山に暮らし、地下の天文台から星を見ている。死んだ親友の恋人は訊ねる、あなたは何を待っているの?岐阜、クレタ。二つの土地、「向こう側」に憑かれた二人の男。生と死のはざま、超越体験を巡る二つの物語。
著者等紹介
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年北海道生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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