内容説明
猫の数だけ、罠がある。村松友視が“猫の手”を借りて俳句の旅へ―“猫の味方”村松友視が覗いた、俳人たちと猫の幻妙な関係!
目次
百鬼園と内田百〓(けん)のあいだ
芭蕉翁の虚実カクテル
さすがに一茶、是に有
久保田万太郎、遠心力と求心力の綱渡り
漱石が、名も無い猫を稲妻に
ああ其角やっかい厄介またヤッカイ
蕪村、天地時空をあやつる神秘
鏡花、黒猫に役を振る
ここいらでちょいと一服膝栗毛
芥川龍之介、我鬼の手管も猫に届かず〔ほか〕
著者等紹介
村松友視[ムラマツトモミ]
1940年、東京に生まれる。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。出版社勤務を経て、文筆活動に入る。1982年、『時代屋の女房』で第八十七回直木賞、97年、『鎌倉のおばさん』で第二十五回泉鏡花文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiha
23
2016年は、やっぱ猫で明けませう。芭蕉を始めとする俳人たちの書いた猫の句を紹介しています。私のイチオシは、「百代の過客しんがりに猫の子も」(加藤楸邨)ですなあ。『世界ねこ歩き』のシーンを思い出すような「猫の子のくんづほぐれつ胡蝶かな」(其角)「人も居らず栗はねて猫を驚かす」(子規)「霜の花ひとたび猫に附きて消ゆ」(石田波郷)「野の猫が月の伽藍を抜けとほる」(橋本多佳子)も好きです。「ありたけの力小猫が育つ朝朝」(碧梧桐)は、二つ重ねた朝が、朝毎に昨日より大きくなっている感じがします。トミーくんもだね。2016/01/03
こうちゃ
10
芭蕉・一茶・漱石・山頭火・・・。俳人たちの生い立ちや、詠んだ句に解説などを加え掲載。特に、猫を詠んだ俳句を集めた一冊。タイトルの軽快さと表紙の猫のイラストの可愛さにうっかり手を出してはいけないジャンルだったかも。猫好きで俳句を詠む方なら、じっくり味わって読むのだろうな。恋猫・猫の子が季語なのはわかるけど、うかれ猫も季語だそうで、なかなか面白い。2014/10/05
ぷれば
4
俳句総合誌『俳句』に連載された「詠まれた猫」に加筆訂正したもの。芭蕉や一茶、蕪村をはじめ、俳人21名の生き方やエピソードを紹介しながら、各人の「猫」にまつわる俳句を紹介。なかなか趣向や着眼点がおもしろかった。2014/09/16
すなどけい
3
タイトルに惹かれて読んでみた。思ったより堅苦しく思ったより面白かった。猫の句は「暫く聴けり猫が転がす胡桃の音」が一番好きかな。内田百けんが五ヶ月間家に寄りついていたノラが突然いなくなり、探し出そうと新聞に広告、警察署に捜索願を界隈の理髪店、美容室、小学校にビラをお願いした挙句にノラが帰ってきた時のために騒がしたお詫びの広告まで用意していたという話が、面白くもあったが「ノラやと呼べば返事をします」の文面には猫好きの胸にはグッと来るものがあった。結局のところ猫は名人の方々をしても難題とお見受けした次第である。2016/10/07
ひな
0
俳人の生い立ちや俳人達の猫の俳句を交えた説明がとても読みやすく猫を知り尽くした村松さんならではの作品。2015/01/17