内容説明
斉彬が死んだ。幕府改革のため、兵をひきいて上京する、その直前の死であった。斉彬の死によって暗雲は再び日本を蔽うことになる。安政の大獄の嵐が世に吹きあれ、国元では前藩主斉興、後見久光派による粛清が始まった。西郷はなんとか一命をとりとめたが、庵美大島へ流謫された。西郷の長い苦しい流人の時代の始まりであった。
感想・レビュー
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レアル
57
倒幕ではなく公武合体論を主張し、斉彬と比べても全く劣り藩主の器でない久光を、隆盛はじめ薩摩藩士たちは物足りないと感じている。安政の大獄、桜田門外の変、八月十八日政変、池田屋事件、禁門の変辺りをこの巻は描いている。隆盛嫌いの久光との確執にピリピリし、倒幕に逸る藩士たちに「時期を待て」と抑え込む隆盛。西郷は朝廷を崇拝しても倒幕は必要と考えている。この巻ラストでは、攘夷を振りかざす長州藩が危うくなってきた。史実の行く末は分かってはいるが、どのような物語が待っているのか楽しみ!次巻へ。2017/08/10