朝日新書<br> 漱石と朝日新聞

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朝日新書
漱石と朝日新聞

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  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784022737731
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

出版社内容情報

【文学/日本文学評論随筆その他】東京帝大講師から新聞記者に転じた夏目漱石。読売との引き抜き合戦で朝日が勝ったのは給料の額だった。40歳、筆一本で立った漱石の言文一致体の近代小説と、正岡子規、上田万年、池辺三山ら漱石を支えた人々、大衆社会の形成とともに成長した朝日新聞のメディアビジネスをビビッドに描く。

山口謠司[ヤマグチヨウジ]
著・文・その他

内容説明

「朝日新聞」と「読売新聞」のスカウト合戦の末、朝日が迎えた夏目漱石。一〇〇年経っても古びない国民的作家の魅力とは?文豪・漱石誕生の秘密とは?明治後期から大正へと、日本に大衆社会が生まれつつあった。そんな時代、だれもがわかる漱石の文章が人びとの“こころ”を掴んだ。漱石スタイルの文章を生んだ“三人の男”、正岡子規、上田万年、池辺三山。そして、大阪から東京に進出し、漱石を起用して読者拡大に乗り出した新興「朝日新聞」。漱石を取り巻く文学者、新聞人、政治家、資本家たちが織りなす人間模様を描く。

目次

第1章 漱石の「文体」が、漱石の朝日新聞入社を実現させた!
第2章 朝日新聞、大阪から東京に根を下ろし大新聞を目指す
第3章 とにかくお金が必要だ!
第4章 三人の男
第5章 今日も原稿用紙のマス目を埋めていく
第6章 友は死ぬ 弟子たちが育っていく

著者等紹介

山口謠司[ヤマグチヨウジ]
1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部中国文学科准教授。同大大学院で博士号(中国学)。英国ケンブリッジ大学兼任研究員。フランス国立社会科学高等研究院に学ぶ。2017年、『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ケイ

128
大阪朝日新聞と東京朝日新聞が分かれていた時代、40歳の漱石との交渉に成功したのは東京朝日。2年の留学後に4年奉職したことで義理は果たせた、文学的に生きたいと望んでいた漱石。雑誌『ホトトギス』などに『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『草枕』を発表し ていた漱石の読みやすい日本語での小説を連 載として載せたかった朝日新聞社。ちなみに最初に名乗り出たのは読売だった。著者は漱石研究者ではないようだから、漱石好きなら知っている内容もかなりあるが、新聞社側の事情に詳しい。 しかし、漱石への愛が感じられず...2018/08/05

Willie the Wildcat

77
時勢を踏まえた上での「新聞」というメディアの役割と、漱石作品の考察。日々の市民生活の細やかな楽しみ。応える普通文と、その”日次”という継続性。「一段半/一連載」は、朝日新聞時代の漱石作品の理解を深めるのにもれなく一助。氏にまつわる記載内容はほぼ既知だが、氏の”日本語”への貢献に対する著者の視点は、非常に興味深い。加えて、氏が長生きしていれば戦争も回避?!といった件に、著者の熱い思いを感じる。但し、「小説の内容はともかく・・・」はないだろう!?(笑)2018/07/08

佐島楓

57
言語学史および言文一致のくだりが「あっそうだったのか!」となった。長年疑問に思っていたことが氷解した。そのほかにも、明治文学史、新聞の歴史、そして何より漱石の評伝として優れていると思う。読んでいて明治の空気を吸っているようだった。2018/06/16

ホシ

23
漱石が生きた時代は「新聞」というメディアの草創期。そして、日本に「標準語」が定着していこうとする時期でもありました。この時代背景を鑑みながら、漱石の作品が朝日新聞に掲載された事の意義を読み解いていきます。日本語学者ならではの視点からの考察に、他の漱石本とは一味違った新鮮味を感じました。漱石作品を読むと漱石自身も「漢文訓読調」と「言文一致」で揺れていたのだと思われます。その”揺れ”の中で自身の思想を深め、表わそうとした漱石の奮闘ぶりが目に浮かびます。「標準語の揺籃期」を念頭に作品を読み返すのも良いかも。2019/04/04

なななな

10
明治とともに生きた漱石、タイトルから受けるイメージより、漱石の話。よく見たことがある印象の漱石の写真が、喪章をつけており、明治天皇葬儀後の喪失感が顔に出た写真だったとはびっくりでした。2018/08/02

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