内容説明
近いようで遠い日本と中国の文化の隔たりが思わぬ摩擦を生む。日中の行き違いを九尾狐の伝承、新美南吉や宮沢賢治の童話、日本の裸祭りの風習など豊富な事例から描く。えっ!そうだったんだ。こんなことに中国人は反応するのか。驚きの日本文化論、登場。
目次
第1章 動物を慈しむ文化
第2章 動物観の違いが文化にも
第3章 裸の付き合いをする文化
第4章 「水に流す」文化
第5章 儒教体系に支えられてきた文化
第6章 「正義」を求める文化と「自然」を求める文化
第7章 日本人のアイデンティティー
終章 2000年の不理解をひもとく試み―日中異文化の視点で
著者等紹介
王敏[ワンミン]
1954年中国河北省承徳市生まれ。大連外国語学院日本語学部卒。四川外国語学院大学院修了。お茶の水女子大学で博士号。法政大学国際日本学研究所教授、上海・同済大学客員教授。中国・優秀翻訳賞、山崎賞、岩手日報文学賞賢治賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
16
5年に1度の共産党大会を前に読了。狐をはじめ動物を慈しむ。裸祭りや混浴など裸の付き合いをする。水に流す。遺骨へのこだわり。敵味方分け隔てなく戦死者を慰霊する。中国人から見た日本文化論は言われてみると成る程とうなづく事が多いですね。一方の中国については隅々まで儒教的な価値体系が浸透している国であると分析しています。ただし、中国の宗教は道教なんだそうです。2017/10/21
北山央晃
2
タイトルにはどんな意味があるのか。 長期間に亘る「不理解」。無理解でも誤解でもない。理解しようとしなかった歴史的不作為があるのか。 導入部では世界のなかで希に見る「動物を慈しむ文化」として日本文化が捉え、一見、表層的な描写にも思える。「裸の付き合い」「水に流す」「無思想の思想」などいくつかの言葉は他の日本文化論でも言われてきた。そして著者の王敏さんはいくつかの複層構造として日本文化を捉えている。 面白いのは五木ひろしが歌う流行歌の歌詞のなかに自然融合的な価値観を見いだしているところだ。2016/10/31
大猫熊
0
動物観、裸祭り、水に流すと、わかりよい違いから説いて、儒教の受け止め方を議論する。捉える正義という義理に連なる展開だ。そこに日中の不理解を分析する。非日本人に中国人を含めた(189ページ)わたしの同意できるところで、という、著者の思わぬ吐露は、この著書の内容として注目してよい。儒教で表を飾る,うちに道教、とは、指摘されるところ、その内に、陰陽をみるか、神道を見るか、そこに大陸と周辺文化の拠ってくる違いに気付けば、基層が何かとの議論になる。仏教が被った世界観は、日本人のアイデンティを変えたかに見える。2012/03/18