出版社内容情報
【哲学心理学宗教/心理】「普通の子」がなぜ些細なことから突発的な事件を起こすのか? 彼らの特徴である幼児的万能感やヒーロー願望、自己正当化など、従来の精神医学ではとらえきれない病理を「誇大自己症候群」と呼ぶ。事件現場から職場、家庭まで、現代に蔓延する病理を実例をもとに徹底分析。
岡田尊司[オカダタカシ]
内容説明
少年犯罪や、モラハラ・DV、暴言政治家…従来の精神医学ではとらえきれない彼らの病理を「誇大自己症候群」と呼ぶ。その特徴は、幼児的な万能感や現実感に乏しいファンタジー傾向、共感性の欠如などである。子どもから大統領まで、現代社会全体に蔓延する病理の真実。
目次
第1章 異常事態の根底にあるもの
第2章 誇大自己症候群とは何か
第3章 誇大自己症候群の悲劇
第4章 誇大自己症候群を生む現代社会
第5章 身近にひそむ誇大自己症候群
第6章 誇大自己症候群の克服
著者等紹介
岡田尊司[オカダタカシ]
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退、京都大学医学部卒。同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事し、京都医療少年院などに勤務。現在、岡田クリニック院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たこやき
15
結局、誇大自己症候群って何なの? 「分不相応な万能感、自己愛を抱えた人」という粗雑な定義は言うが、じゃあ、どこまでが適切でどこからが分不相応なのか、などの考察はなく、会ったこともない偉人、著名人に「こいつは誇大自己症候群」とレッテルを貼るだけ。原因についても、愛着障害だ、発達障害だ、社会的成功だ、とあっちへフラフラ、こっちへフラフラ。さらに、少年犯罪の質が変わった、と言いつつ、過去の暴走族なども、という。結局、何でもかんでも誇大自己症候群とレッテルを貼ることができる、ということになり、意味がわからない。2017/03/10
香菜子(かなこ・Kanako)
10
誇大自己症候群 あなたを脅かす暴君の正体。岡田尊司先生の著書。誇大自己症候群は一種の現代病で、有名人にも誇大自己症候群がたくさんいることがわかりました。誇大自己症候群の暴君に出会わないこと、振り回されないことを願うと同時に、自分が誇大自己症候群にならないように心掛けないと。2018/07/12
IWASAKI Yohei
5
この言葉自体は初めて聞いたが、こういうことは現実にあふれていると感じる。自分も少なからずそういう時があるようにも思うし、読んでハッとすることがたくさんあった。やはり本を読むことは大切。2017/02/17
newborn
4
いっている事は論理的には面白いけれども、原因が複雑に折り重なった結果でてくる社会問題や世の中をシンプルな一言でまとめすぎているのではと思いました。多分、論理的説明を書きながら作者本人も「俺の言ってることむちゃ曖昧なんじゃね」って気づいているのではないでしょうか。ソフトな本ほど大きな結論がでてくる一方、アカデミックな硬い本ほどなかなか結論は出てこないって言う学問の葛藤があると思いますが、本書は明らかに前者。 2017/03/24
侑珠生
2
欲求のこんとろーるを学ばなければならない時に、過度の甘やかしと極端な愛情不足が併存すると、誇大自己症候群を助長することになる。過保護と、その無償の愛の対象が自分でなくなった時の、心の危機。親世代にも誇大自己の傾向を持つ人もいて、子どもを自分の支配の対象としている場合は、闇が深そう。2023/03/07