内容説明
カフカ『変身』、トルストイ『戦争と平和』ドストエフスキー『罪と罰』、カルペンティエール『失われた足跡』―。世界文学の古典12点、戦後の代表作11点を、娘への手紙形式で紹介する文学入門。作品の大筋と読み取るべきポイントを解説しつつ、若い人たちへ読書の楽しさを告知する刺激的なガイドブックである。
目次
トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』―自分にひそむかたよりの感覚
バルザック『従兄ポンス』―人間の金銭欲のすさまじさ
トルストイ『戦争と平和』―歴史を巨大な日常として
ドストエフスキー『罪と罰』―神を見失った現代人の運命
ロレンス『息子と恋人』―男女の永遠のたたかい
セルバンテス『ドン・キホーテ』―狂気のかたちをとった理想
ギュンター・グラス『猫と鼠』―戦争で消えた友への鎮魂歌
フィリップ・ロス『狂信者イーライ』―ユダヤ人自身の反発と吸引
アラン・シリトー『屑屋の娘』―庶民のなかの“生”の瞬間
マルグリット・デュラス『ラホールの副領事』―アジア的自然への求愛
ソルジェニーツィン『マトリョーナの家』―権力は民衆の日常を奪えない
ギマランエス・ローザ『大いなる奥地』―生の“隠された小道”にわけ入る〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Monsieur M.
5
もともと、メヂカルフレンド社の「看護学生」という雑誌の、1978年4月号から1980年3月号まで連載されていたのを、一冊の本にまとめたもの。現在は、ちくま学芸文庫から「私の世界文学案内―物語の隠れた小径へ 」と改題の上、出版されている。 「世界文学の古典12点、戦後の代表作11点を、娘への手紙形式で紹介する文学入門」とあるが、「戦後の代表作」の方については、この頃あまり聞かず、現在では絶版になっているものも散見され、「40年も経つと、結構入れ替わるものなんだなあ」と思った。 また文学を読み直したくなった。2018/07/10