内容説明
三人の愛人を持つクク氏の離婚、ともに再婚者であるキキ氏とキキ夫人の新生活はどのような悲喜劇を迎えるのか。男女の三角関係と傷だらけの日々を、詩的な文章で痛快に描き出す、愛と痛みに満ちた物語。
著者等紹介
佐野洋子[サノヨウコ]
絵本作家、エッセイスト。昭和13年、北京生まれ。昭和22年山梨県に引き揚げ、その後静岡県に移る。武蔵野美術大学に学び、37年東京・日本橋の白木屋宣伝部にイラストレーターとして入社。のちに退社し、フリーになってポスター、挿絵などを描く。42年から約半年間、ベルリン造形大学でリトグラフを学ぶ。46年『やぎさんのひっこし』で絵本作家デビュー。50年『おじさんのかさ』がサンケイ児童出版文化賞推薦賞を受賞。52年に出版した『100万回生きたねこ』はロングセラーになっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キジネコ
57
凄く可笑しい。「助平なことを思うことも忘れてる72歳」「こんなものを本にしてくれてありがとう」何れも、あとがきの佐野さんの御言葉。先達の思いをアレコレ感想するのは未だ未だ未熟な後塵のよちよち散歩者として烏滸がましく思いますが…人間はやはり不思議な猿。助平だ、嫌らしい、猥褻だ、淫靡だと鯱張って宣っても本来はみっともない。性の事に限らず、己のすることの理屈を捏ねたり、恥じ入ったり、たまさか本人の躍起が一番の滑稽ぶり、を嗤う。さりとて表裏なき人柄なんてのも興ざめ。隠すことに美あり、喩に趣ありかなあ。の裏返し。 2019/06/28
魚京童!
16
目が死んでいるんだよな。2015/05/15
朝比奈さん
12
クク氏の究極の草食系(無気力系)にドン引きし、キキ夫人には受診を勧めたくなる。2014/06/08
あつひめ
10
佐野さん初読みで、作風に正直ビックリしてしまったのですが・・・絵本作家だったとは。そして100万回生きたねこを書いた人だとは・・・言葉にならないくらいビックリ。辛口な風刺で世の中の乱れた男と女をよく表していると思う。2010/02/24
ぶんぶん
9
【図書館】佐野洋子氏の軽快なスケベ話。生活の本音が気持ち良いほど出てる。人生、こんな風に生きられたら、どんなにか幸せだろう。何も喋らない、素裸のままベッドで天井を見てる。こんなにも思考違いがある、敢えて直さない。デンマーク製の赤と緑のコンドーム、見られて見せてのくんずほぐれず。絵本作家、エッセイストと思えない女の情念。たまにはこんな小説も読みたい夜もあります。2013/06/22