岩波現代文庫
椎の若葉に光あれ―葛西善蔵の生涯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 268p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006031336
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0123

内容説明

葛西善蔵の死とともに日本の純文学は滅びた、といわれる。家庭を捨て、生活を放擲し、無頼とも頽廃ともいわれ、自ら作り出した悲惨を描くことに生涯を賭けた作家の真実を、石坂洋次郎、有島武郎、太宰治、宇野浩二、牧野信一、嘉村礒多ら文学仲間と女たちとの身を削る交流の中から現代に救い出す。同郷津軽出身のルポライター渾身の評伝文学。

目次

第1章 故郷
第2章 雪をんな
第3章 奇蹟
第4章 おせい
第5章 三宿

著者等紹介

鎌田慧[カマタサトシ]
1938年青森県に生まれる。早稲田大学文学部卒業。業界誌記者などを経て、フリーのルポライターとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ステビア

16
作に生き、作に死に2020/06/06

パブロ

15
ダメ人間=突き詰めた人。この評伝を読むと、葛西善蔵は破滅型というよりも純粋に全身が小説家だったんだな〜。素晴らしい私小説を書くためには壮絶な生き方を送らなければならない。とっても矛盾しているように聞こえるけれど、それを体現した葛西善蔵の魅力と、それに振り回された人たちの愛憎は、人間の持つ本質、そして美しさを垣間見せてくれて小説以上に迫力がある。それにしても不思議だ。凄まじい人生を見せられたにも関わらず、この清々しい読後感って…。それはひとえに、葛西善蔵という人柄がこの作者を通して現れているのかもしれない。2015/12/10

駄目男

1
葛西善蔵の余りに無頼派的な生き方には流石に首を傾げる。 葛西にとっては「生活の辛酸は苛烈な記録の酵母菌として、望むところであった」と著者は言っているが無法無残な生活たるや如何なものか。 妻の実家からの援助、妻子は郷里に残し、誰彼構わず借金のしまくりで首も回らず。 太宰は「悲しみは、金を出しても買え」と言っているが、それにしても度の過ぎる飲酒と貧困。 節制をして命を惜しみいい作品を書こうという気持ちになれないほど酒を愛した男の末路。 どうしたものか! 2014/06/02

久守洋

1
葛西に振り回されながらも支えていた人物たちと、彼らをほぼ慮ることなく芸術に身を投じた葛西。広津和郎が後に「今はしかし、世の中が葛西を食わしとかないな」(1962年の対談)と述懐しているように、葛西は「おおらかな時代」の寵児だったのかもしれない。2010/06/29

渡辺 にゃん太郎

0
葛西に認められていっぱいペロペロされたい石坂洋次郎、その生き方を畏れる太宰治、誇張気味に作中に書かれ絶交したが死の間際に仲直りした広津和郎、せっかく仕上げた口述筆記を破られる弟子の嘉村磯多、兄が好きすぎる葛西の弟、葛西の死後も葛西の愛人と娘を育てたいとこ、ぼろくそに書かれたのにそれでも気丈に振る舞う愛人のおせい。みんな葛西のことが大好き。ある意味、「奇蹟」。どうでもいいけど、犬の雌雄別のおしっこの仕方の芸は今やっても面白いんじゃないのかね。2013/07/08

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