• ポイントキャンペーン

岩波現代文庫
詐欺師の楽園

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 306p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006020668
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0123

出版社内容情報

制度が硬直しているところこそ,詐欺師の楽園となる.まじめくさった軍隊や宮廷社会をコケにして,悪さを働く輩が跋扈する.近代システムが整備されんとするヨーロッパを深層から見据える種村流精神分析的社会批評.

内容説明

制度が硬直しているところこそ、詐欺師の楽園となる。まじめくさった軍隊やスキだらけの貴族社会、王宮の政治機構などを徹底的にコケにして、痛快な悪ふざけ、大泥棒を働く悪漢たちが跋扈する。一八世紀から二〇世紀、近代的システムが整備されんとするヨーロッパ社会の裏面と深層を辛辣に暴きだす精神分析的社会批評。

目次

贋エチオピア皇帝の訪れ―英国艦隊をコケにした悪漢ヴェア・コール
バルムベックの王様―大盗賊団長アドルフ・ペーターセン
ルーマニアの泥棒英雄―貴婦人総ナメのゲオルク・マノレスコ
モナ・リザ泥棒―無頼の王様アポリネール
詐欺師の哲学―薔薇十字団大幹部カザノヴァ
華やかな鉄仮面―女装の剣士デオン・ド・ボーモン
大革命の時計師―国家陰謀の技師ボーマルシェ
夢の機械魔術師―史上最大の魔術師ロベール=ウーダン
悪魔博士の正体―オカルト怪人シュレンク=ノッチング
二十世紀に蘇る救世主―奇蹟かペテンかブルーノ・グレーニング
顔のない男―詐欺と扇動のスーパー・カメレオン
史上最大の贋金造り―ポルトガル乗っ取りのアルヴェス・レイス

著者等紹介

種村季弘[タネムラスエヒロ]
1933年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。国学院大学教授。専攻・ドイツ文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

12
【概要】近代ヨーロッパで暗躍した詐欺師達の肖像。【感想】安定したシステムに外からの来訪者がさもシステムの住人であるかの顔をして入り込み、内部に蓄積した富を掠め取っていく。システムは貴族社会だったり宮廷だったり、時に錬金術になる。騙す相手が欲するものを飾り付けて差し出し、金品や次のカモとなる人脈をせしめる。2022/01/16

Koki Miyachi

8
18世紀から20世紀にかけてヨーロッパで活躍?いや跳梁跋扈した詐欺師の武勇伝が集められた一冊。詐欺師の振る舞いの根底には、我々も必ず持っている欲望やよこしまな気持ちがあることに気付く。偏った生き方を貫いて生きた詐欺師達の生きざまのシンプルさ潔さが何故か胸を打つ。2018/05/20

tama

6
図書館本 以前別の本でこの本を知り興味持ったから。 しかし、文体なのか、リズムなのか、捉え方なのか原因は分からないが、どうにも何かが邪魔で文章に入り込めませんでした。著者の名前は結構前から知ってて興味持った一つはそこなんですが、もう読まないと思う。「博識」が多過ぎたのかもね2018/01/08

sabosashi

6
わたしたち小市民は「詐欺」などという怖しい行為とはまったく無縁に生きていると思っている。しかし詐欺は歴史に名を残すこともある。ただしそれは裏街道にかぎられると思っている。かくして著名な詐欺師について詳述が展開されるがその文が心憎いまでに技をみせている。ところがしだいに詐欺という行為も歴史的な産物であり、詐欺を通して歴史を読み取ることが可能だとなると裏街道どころの騒ぎではない。ただしなるべく継承者なるものが生まれないように歴史からはできるかぎり封じられているような格好。マイナーにしてメジャーという世界。2014/06/02

編集兼発行人

2
世の中を欺いた様々な西欧人の顛末。賤なる出自の者が技術的な初期投資によって幸運にも上流階級へ食い込んで荒稼ぎする模様を手短に活写。騙す者は騙される者が無意識の内に孕む欲望を見抜いて軽く擽っているに過ぎないのかと思しき事例の数々に屈強な説得力の暗黒面を垣間見る。突出した才能とは本人の自己研鑽と時代の七変化とが幸福にも合致した瞬間に花開いて旬と化すのであり以後の没落を構造的に組み込まざるを得ないのは已む無しかと推察。小規模なら一犯罪者となり大規模なら一国家となり何れにしても「ヘマをする」存在として同義と合点。2013/07/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/221221
  • ご注意事項