出版社内容情報
「あなたにとって贅沢とは何ですか?」豊かさ、幸福、生きがいなど、様々な問いと切り結ぶ「贅沢」の問題。著者ならではの冴えた批判精神のもと、王侯貴族からブルジョワジーへという〈主役〉変遷の歴史をひもとき、ルイ14世、シャネル、白洲正子など、豊富な実例を読み解く。そこに浮かびあがる「現代の贅沢」とは?
内容説明
「あなたにとって贅沢とは何ですか?」―贅沢はお金で買えるのか、買えない贅沢とは何か。「タイム・イズ・マネー」の呪縛にとらわれた世界にあって、「真の贅沢」とは何なのか。著者ならではの冴えた批判精神のもと、中世修道院文化からココ・シャネル、白洲正子まで、豊富な実例を読み解く。そこに浮かびあがる「現代の贅沢」とは。
目次
序章 贅沢の近代―「優雅な生活」
1章 リュクスの劇場―きらびやかな男たち
2章 背広たちの葬列―ビジネス社会へ
3章 ラグジュアリーな女たち―さまざまな意匠
4章 禁欲のパラドクス―修道院という場所から
終章 贅沢の条件―時をとめる術
著者等紹介
山田登世子[ヤマダトヨコ]
福岡県生まれ。現在、愛知淑徳大学教授。専攻はフランス文学、文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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太鼓
9
贅沢は時代や身分やもちろん個人によっても変わりゆく。自分にとっての贅沢とは何か。色々考えちゃいました。2015/11/24
g.t
6
贅沢とはきらびやかな物に身を包む事ではなく、精神的な充足感を内に秘めている事であると感じた。時間に管理される現代における本当の贅沢とは、資本主義的な時間管理の束縛を逃れて虚空の中で生きる時間を持つ事なのかもしれない。自身の人生において本当に大事にするべき観点は、心の中のアンテナに響くかどうかであり、周囲の評価を気にするのではなくどう感じるかに向き合う必要があると感じた。2022/09/13
おらひらお
5
2009年初版。貧困論や格差論の本が山のように出ている中、ほとんどなかった贅沢論。何を贅沢に感じるかは個々人の考え方や育ちで異なるのでしょうが、僕は結構、贅沢な暮らしができていることが確認できました。ほぼ毎日紀元前後に作られたものに接しているし・・・。2012/08/09
アルクシ・ガイ
4
わが社の方針が、まさしく人間の機械化。職人技なんて単語を聞いたら蕁麻疹を出すだろう。私にとっての贅沢は…好きな時に好きな本を読めることかな、やっぱり。2017/12/03
A
4
近代以前の閑暇な貴族社会では贅沢は男性のものであったけど、近代の産業社会に入ると、贅沢は男性のものから女性のものへと変化する。男性は装飾的な衣装を脱ぎ捨て労働着を身に付けるようになる。さらに20世紀に入ると女性の社会進出が進み、シャネルの登場により、女性も労働着を身に付けるようになる。こうして現代では、男女ともに閑暇よりも労働を重視するようになり、かつての貴族的な贅沢は忘却されていく。しかしこういう時代だからこそ、閑暇を再び贅沢として見直し、多忙な労働の外部に出る必要があるのではないか。2016/09/17