出版社内容情報
テレビが生活のなかに定着して久しい.だが,テレビ出現以前の人々は何を見ていたのだろう? 著者は放送誕生以前の視聴覚文化のさまざまなかたちを探るなかで,日本のコミュニケーションの特徴を考えていく.見世物から影絵,パノラマ,演歌,声色等々,懐かしき世界が展開する興味深いエッセイ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
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この時期大量に書かれたテレビ論の典型の一つ。冒頭に『君の名は』のヒットなぞに触れており笑わせてくれるが、他にも菊人形を見に枚方まで言ったのに駐車場が満員でお手上げだった話などは興味深い。だが総じて50年代の日本社会論からまだまだ独立はしていない言説であり、いたるところでルースベネディクト『菊と刀』が参照されている。「日本人はテレビキチガイ」と言われていた時代のテレビ論なので日本文化論になるのはしょうがない面もあるが、いかんせん非西欧=日本的という短絡図式にいい加減こちらは不思議な気持ちになってきてしまう。2017/08/17