出版社内容情報
思想のあらゆる固着化を拒否し,思想の抽象的体系化を否定したソレル(1847‐1922)は,常に現実に浸透することによって思想に生気を取り戻そうとした人であった.議会主義的社会主義政党に対決し,労働者の反議会主義と行動主義を主張した本書は,いわゆるサンジカリズムの代表的理論であり,当時の労働者・知識人の歓迎を受けた.
内容説明
“戦争と革命の20世紀”を震撼させた書!フランスの社会思想家ジョルジュ・ソレル(1847‐1922)の代表的著作。国家の強制力に対抗し、個人の自由と権利を擁護するための、下からの暴力を主張。革命的サンディカリズムの立場から、生産者の共同体と新しいモラルの再建を唱えた。その影響は左右両翼に幅広い。新訳(全2冊)。
目次
第1章 階級闘争と暴力(富裕な集団に対する貧しい集団の闘争;階級分裂に対する民主政治の敵対 ほか)
第2章 ブルジョワジーの頽廃と暴力(恐怖をあたえることを必要とする議会主義者;パーネルの方法 ほか)
第3章 暴力に対する偏見(フランス革命に関する旧来の諸思想;八七〇年の戦争と議会制度から生じた変化 ほか)
第4章 プロレタリアのストライキ(議会主義的社会主義のあいまいさとゼネストの明解さ;歴史上の神話 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
34
10
独学者はペシミスティックに革命的であれ。2020/02/23
無識者
10
議会政党は結局ある種の利益集団となることで、議会に対して信頼が薄い。民衆のゼネストなどによって議会に要求をのませるのがいい。そんな内容だったと思います。下巻に進もうと思います2015/09/06
Happy Like a Honeybee
6
サンディカリズムや階級制度研究者たちの必読書。 日本において階級闘争と言う言葉は隔世の感を禁じ得ないが、学生運動が盛んな時代はもっと読まれていた書籍では。 暴力に対する偏見とプロレタリアのストライキ。 階層の固定化された西欧では琴線に触れる記述ばかりであろう。 ソレル氏自身も下層階級の女性と結婚できない経緯があったから、影響力が大きいのか。2020/03/29
古川
6
「暴力論」とあるが、殴る、火をつける、砲弾を撃ち込むといった、我々が暴力と聞いて一般的にイメージするものについては、ソレルは「他者を自分の思い通りにすることを目的として振るわれる『強制力(フォルス)』」とし、この、人間を社会の歯車として扱おうとする強制力に対立する、個人の自由意志に基づく、抑圧や拘束をはねのけんとする、人間の創造的で情熱的な生命力の躍動、ぐらいの意味で「暴力(ヴィオレンス)」を使い、この暴力を称賛しているので、我々の一般的な概念で言えば、むしろ非暴力論というほうが近い。2015/12/31
ラウリスタ~
6
こういう社会科学的な本を読む力がまだないことを痛感。文字を追って面白い表現があったら楽しめるんですが(ちなみに個人的には下手な短編よりも面白い)結局なにを主張したかったのか分からなかった。ひとつ気づいたことはこういう本を書くひとたちは周りの人たちの愚鈍さ加減にあきれ返っている。人は外から見ると自己評価よりはるかに馬鹿に見えるものなのだということが分かってきた。結論 ソレルさんみたいな立場のはっきりしない人の著作を読むのは骨が折れる。2010/12/17