出版社内容情報
魯迅(一八八一―一九三六)には,寸鉄人を刺す数多くの評論・随筆がある.その中からおのが心境を述べた「『墓』の後に記す」,三・一八事件に抗議した「花なきバラ」,林語堂との論争記録「『フェアプレイ』はまだ早い」,講演「魏晋の気風および文章と薬および酒の関係」,遺言を記した「死」等十七篇を収録. (解説 飯倉照平)
内容説明
魯迅(1881‐1936)には小説のほかに数多くの評論・随筆があり、寸鉄人を刺す筆を揮った。その中から自己の心境を述べた「『墓』の後に記す」、3.18事件に抗議した「花なきバラ」、林語堂との論争記録「『フェアプレイ』はまだ早い」、講演「魏晋の気風および文章と薬および酒の関係」、遺言を記した「死」など17篇を収録。
目次
『墓』の後に記す
花なきバラ
花なきバラの二
忘却のための記念
深夜に記す
随感録 抄
「フェアプレイ」はまだ早い
どう書くか―夜記の一
小雑感
半夏小集〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
14
「おとなしいは一名能なし」ということばがある。これは、悪事ををそそのかすのではなく、苦い経験をなめたはてに出てきた警句(アフォリズム)なのだ(80頁)。J.S.ミルは、専制は人々を冷嘲者に変える、といったが、共和が人々を沈黙者に変えることには気づかなかったと指摘する(99頁)。わたくしは相手に何をしゃべっても、頷き、はい、はい、しか言わない人間が大嫌いだ。少しはことばがあってもいいだろう。建安七子の、孔融、陳琳、王粲(さん)、徐幹、阮瑀、応瑒(ちょう)、劉楨は文章が上手だったという(169頁)。2014/01/20
belier
4
後期に書かれたものの評論集。カバー表紙に「寸鉄人を刺す筆」とあるが、まさにその通り。前期の小説群の雰囲気とは違い、戦闘的な反骨精神をあらわにしている。創作者らしい文もあるが、冷徹な活動家の論理を展開する文もある。当時、左派系の作家は軍閥から弾圧されたり、国自体が日本に侵略されたりと情勢が厳しく、言葉も激しくなったのだろうか。だが権力者の目をごまかす必要もあった。古い文学の講演をしながら、昔の君主が孝行を重視したのは「単に自分に反対するものを罰するため」と、同時代の権力者批判を紛れ込ませる工夫もしている。2022/02/01
Happy Like a Honeybee
4
魯迅の影響は時間と共に民主に染みていくだろう(竹内好) 生命は死を恐れない。滅亡した人間を踏み越えて進んでいく。 道とは何か。 道のなかったところに踏み作られたもの。荊棘ばかりのところに開拓されたもの。 革命と文学の関係は二艘の船が並ぶようなもの。 レーニンがゴンチャロフを愛読した逸話を想起せよ。2020/01/07
yagian
2
日本の近代化もいろいろ大変だったけれど、中国の近代化はもっと過酷だったとしみじみ思う。2016/10/10
tokiniwa
2
魯迅は小説家というよりももっと行動的な人物であったことが分かる。もっと文献に今後触れてみたい。2013/09/01