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岩波文庫
窪田空穂歌集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 466p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003115534
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0192

出版社内容情報

90年の生涯の最晩年まで,日本的情緒にひたされた老年の心境詠とは無縁の,若々しい旺盛な創作活動を続けた歌人窪田空穂(1877-1967).短歌のほか,空穂の秀れたストーリー・テラーの資質がうかがえる長歌約70首を収録.

内容説明

私は師と称する人も持たず、詠草の添削を受けたことは一回もない―90年の生涯の最晩年まで、日本的情緒にひたされた老年の心境詠とは無縁の、若々しい旺盛な創作活動を展開した歌人窪田空穂(1877‐1967)の全作品の中から精選。短歌とともに、その見事なストーリー・テラーの側面が窺える長歌も収録。

目次

まひる野(明治38年)
明暗(明治39年)
空穂歌集(明治45年)
濁れる川(大正4年)
鳥声集(大正5年)
泉のほとり(大正6年)
土を眺めて(大正7年)
朴の葉(大正9年)
青水沫(大正10年)
鏡葉(大正15年)〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

108
実直で地に足がついた作風だと思う。恋愛などはあまり歌わずに、生きていくことの苦しさや悲しみ、喜びを歌にしていく。華麗さがないので、あまり人気はないのかもしれないが、私は好きだ。戦争中の『冬木原』の長歌「捕虜の死」は圧巻。戦争で息子を亡くした父親の慟哭が伝わってきて、涙なしでは読めない。人間が戦争を続けていく限り、強力な反戦歌として読み続けられるだろう。80歳を超えると空穂の歌は新たな境地に到達する。老齢による体の衰えを嘆きながらも深い洞察を感じる歌が多く、人間愛に満ちている。→2016/12/23

松本直哉

19
あの戦争を生き延びた文学者は、三好達治も堀口大学も、戦後著作から戦争賛美の部分を削除して出版した。ちょうど戦後の教科書を黒塗りにしたように、今となっては恥ずべき文章を消して、何事もなかったかのように。しかしこの歌集では戦争を賛美し天皇をたたえる歌が載っていて、文学報国会の幹部を務めた人の戦意昂揚のための歌を読むのは苦しく辛い読書だった。だがこのような醜悪な歌と、透明なリズムの美しい抒情の歌を並置することではじめて等身大の作者の像が浮かんでくるのかもしれない。削除して知らぬふりをするよりは良心的なのだろうか2015/03/04

壱萬弐仟縁

17
著者は松本市和田出身(解説、417頁)。「土を眺めて」より。富士の山初めて見ては驚ける我が子が心羨(とも)しきろかも(88頁)。貧しさを忘るるべくも書(ふみ)読むにあらね貧しさ忘れたりける(89頁)。「明闇」の読書より。わが饑(うえ)を充たさむ書(ふみ)の読まざるが数多ある如く思ほゆるかも(219頁)。「卓上の灯」の読書より。読みをへて閉すと共に読みもらすことある如く思はする書(ふみ)や(292頁)。「丘陵地」の読書より。 2014/11/09

shinano

13
非常に現代的(いわゆるぼくらの日々の社会事象や日々の暮らしにある食や風物への雑感投影的な感受、そして己の家族、親への感慨)で作歌に勤しんでいるのが、ぼくにはやや物足りなさを感じていた。が、それは、あまりに一般的な和歌に対する偏った見方からのものだった。大岡信(本書の編者)による解説で『なるほど』と頷いてしまえる。所謂、短歌がずっと引き摺ってきていたものへの窪田の『歌と散文の境界線上』的表現への布石の歴史が窪田短歌なのだと。現代的な観点と歌の個性顕現だったのだ。そっかあ、大岡信の父博は窪田門弟だったのだ。2020/12/21

内藤銀ねず

4
とにかく短歌を読みたいと思って手当たりしだいに歌集を集めていた時に、初版で買った本。その当時は「身辺詠かよ!」と投げ出してしまったけれど(塚本邦雄みたいにグサッとくる歌が好きだったんです)、きちんと向かい合うまで時間が掛かりました。歌集の評価基準のひとつに「幅の広さ」があるのですが、窪田空穂は何でこんなことまで歌にしちゃうんだ、みたいな微に入り細に入る幅広さがあります。それを徹底してることが凄さなのであって、昔のわたしじゃまともに太刀打ちできなかったんです。年を重ねると不思議と読めてくるもんです。はあ。

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