岩波文庫
文章の話

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  • サイズ 文庫判/ページ数 245p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003106051
  • NDC分類 816
  • Cコード C0195

出版社内容情報

「〈たい〉ことを〈たい〉せよ」「あなたはあなたで,あなた以外のあなたはいない」――里見〓(一八八八―一九八三)の長い文学的生涯の一貫した基本テーマである.言論の自由が著しく制限された時代に子ども向けに刊行された本書は,作家里見〓が全力で取組んだ異色の文章入門であると同時に,「どう生きるか」を訴えた書. (解説 佐伯彰一)

内容説明

「“たい”ことを“たい”せよ」「あなたはあなたで、あなた以外のあなたはいない」―里見〓(とん)(1888‐1983)の長い文学的生涯の一貫した基本テーマである。言論の自由が著しく制限された時代に「子ども向け」に刊行された本書は、作家里見〓(とん)が全力で取組んだ異色の文章入門であると同時に、著者一流の人間論・人生論である。

目次

第1章 文章と言葉
第2章 言葉と思想
第3章 自と他
第4章 自他と意思
第5章 内容と表現
第6章 表現の諸問題
第7章 本と末

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

116
文章の書き方を述べながら、人生論に発展していくところが面白い。文は人なりの言葉通り、その人が書く文章とその人の人生は、切り離せないものなのだろう。あなたはこの世で唯一無比の存在だから、書きたいことを書きたいように書けばいい、と言うおおらかな助言がたまらなく好きだ。愛情にあふれて限りなく優しい言葉だと思う。このような書物が、日本が戦争にのめり込んでいく昭和10年代に書かれたことは驚きだ。里見弴の作家としての矜持を感じる。子供向けに、文章論の形を借りて、人間として一番大切なことを伝えようとしたのかもしれない。2018/01/17

壱萬弐仟縁

14
遠い図書館からの拝借。鈴木三重吉『綴方読本』、谷崎潤一郎『文章読本』が当時としては稀有の好著とされる(7頁)。重要箇所はゴシック太字。文章とは、言葉を、それの記号である文字に書き表したもの(11頁)。やさしいことのむずかしさを知ることはむずかしい(27頁)。子どもの立場で教えるというのは難しいのと同様だろう。言葉は思想にして、思想は言葉なり(61頁)。喧嘩線というのは発達段階によって頻度が書かれているので面白い(106-07頁)。9歳は1日3回も喧嘩するのだと。文章は読ませるため、思想の発表(150頁)。2013/08/22

うちこ

9
わたしにとってはこの本一冊が、まるでセラピーでした。内容や表現の前にある、第二章・第四章が特にしびれます。第二章の「五、言葉も人を使う」「六.、自分で自分につくうそ」の流れが特にうまい。よくもこんな風に講義を組み立てるものだと、見事としか言いようのないおじさんの与太話風文章講義。おもしろい!2021/03/07

ハパナ

8
頭の中に無い事は、結局表現できない。そして文章とは相手に文で伝えるという意味において、テンプレートではなく意図を持って都度組み立てていくものである。文章を生身の人間から生まれる、なま物の様な扱いをされています。 この本を一言で纏めるなら、佐伯彰一氏の巻末解説表題”人間論としての文章作法”という言葉が一番当てはまると思います。文庫本で225pと短い本なのに、読み終わるのに1ヶ月もかかってしまった。しかし、また読みたい。2018/01/16

Ribes triste

6
物分かりのいい大人が多い昨今、こういう昔ながらの口うるさいオジサンを私は心から敬愛します。前半の文章を書くあたっての心構えと人生訓が、大人が読んでも面白いのです。技術を学ぶ前に、まず人の話をよく聞いて心を作る。今は鬼籍に入られた恩師の事を思い出しました。2015/11/10

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