出版社内容情報
主人公源氏の胸中に深く刻まれた継母藤壺への思慕を出発点として,栄光と寂寞の生涯を辿った四四帖.そして息子薫の世界を描く宇治十帖.始発から終末まで七十年余の時代を追うこの物語には王朝文化の粋が結集され,後世に絶大な影響を与えた.三条西実隆筆青表紙証本を底本とし,複雑な文脈を解きほぐす注を施す.
内容説明
「東屋」から大尾「夢浮橋」の5篇を収める。薫の計らいで宇治に移り住む浮舟の面影を、匂宮は忘れることができなかった。物語は、浮舟と二人の男の愛のもつれをめぐって展開される。双方の競りあいの中で去就に迷う浮舟は、宇治川への入水と追いつめられてゆく。
目次
東屋
浮舟
蜻鈴
手習
夢浮橋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
21
和歌を訪ねる旅⑥。今回で最後になります。ざっと見てきましたが、改めて和歌って何だろう?と疑問を抱きました。現代短歌と何が違うのかな?いずれ宣長さんの『紫文要領』も再読したいなぁ。2015/08/24
そーだ
1
日本古典文学大系(底本は青表紙本系統の宮内庁書陵部蔵三条西家本)の縮約版。「東屋」から「夢浮橋」までの五帖。最終巻に至って、句点が多いせいで読み辛いということにようやく気付いた。「手習」での周りの人々が浮舟に抱く欲望のグロさは圧巻だと思う。どうしても宇治十帖に通底するこの手のグロさが苦手だ。正直いかがわしいものだとは思っていたが、石山寺にある源氏の間が鎌倉時代に造作されたものだということを知れてよかった。2013/10/02
MatsumotoShuji
0
再読2005/01/31
MatsumotoShuji
0
041204
amanon
0
とりあえずは「やっとで読み終えることができたか」というのが、正直な感想。なにせ相手は世に名だたる『源氏物語』、それも古文体である。本文中に注釈者が主語などを補っているため、大分分かりやすくなってはいるが、それでもやはり読みづらい所は少なくなかった。しかし、そういった読み辛さ、読みにくさをあえて堪え忍んで手に取ろうという気にさせるのがこの作品のすごいところ。大筋が分からなくても、細部の描写に心惹かれたり、また細部が分からなくても筋の面白さでつい読み進めたりという感じで結局読み終えることに。2010/01/13