内容説明
メディアが再び戦争に協力しないために―戦後日本のジャーナリズムとともに歩んできた著者による渾身の提言!
目次
第1章 安倍政権下のジャーナリズム(1)―権力批判の衰弱と「戦争のできる国」づくり(特定秘密保護法とジャーナリズム;なし崩しの集団的自衛権の行使容認決定)
第2章 安倍政権下のジャーナリズム(2)―メディア・コントロールと自粛のゆくえ(進むメディア・コントロールと自主規制;改めて問われるメディアの戦争責任)
第3章 「朝日誤報問題」とジャーナリズムの危機
第4章 いま、ジャーナリズムに必要な覚悟とは
著者等紹介
原寿雄[ハラトシオ]
1925年、神奈川県生まれ。1950年、東京大学法学部卒業後、共同通信社へ勤める。共同通信社会部記者、バンコク支局長、外信部長を経て77年に編集局長、85年に専務理事・編集主幹。1986~92年まで(株)共同通信社社長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jamko
16
著者の原寿雄氏は元共同通信社の社長。結局ここに立ち戻るけど特定秘密保護法の及ぼす影響の大きさ。批判的なメディアを排除する安倍政権のメディア・コントロール。新聞社もまたテレビ局と一体化してることで自らの首を絞めている。慰安婦、吉田調書、池上氏コラム掲載中止、という朝日新聞の起こした3つの問題をそれぞれ解きほぐしつつ、朝日バッシングに狂乱する読売産経週刊誌の根拠ない批判も振り返る。朝日新聞、事後の対応が悪いというのはほんとそうだと思う。しつこいほどの自己検証が必要だった。→2020/07/05
onasu
15
ジャーナリストとしての矜持を示していただきましたが、違和感も残りました。 どっかの国が提唱する平和のために派兵するのも、国家主義やごまかしの憲法解釈にも反対です。でも、ジャーナリストとは、国益から距離を取って、その前に人間としての立場から、というのはどうなんだろう。それも必要だけど、まずは現実に身を守る術がないと…。 紛争を引き起こす元が国や民族、宗教、て現実は動かない。護憲を唱えるだけでは、身の安全は保たれない。早々答えのある問いではありません。長い文章ではないので、割愛されていたのでしょう。2015/07/10
Naho Sotome
4
久々の岩波ブックレット。元共同通信社長による、いまの安倍政権下のメディア状況について、戦前の状況を織り交ぜながら論じている。朝日の誤報問題しかり、それにまつわるバッシングしかり、その問題の根深さというか、流れというか、恐れを感じざるを得ない。覚悟を持っていかないと、と思う。2015/05/19
Noboru
4
安部政権への批判もありますが、何よりジャーナリズムのあるべき姿と、現状の問題点に視点を置いた一冊です。 新聞やテレビを含めたメディアの倫理観の在り方と、求められる役割について分かりやすく解説されている意味で、メディア視点の入門書としてもお薦めの一冊です。 しかし、公正で瑕疵のない立場を貫き、厳しい倫理観を持って報道を行うことは、本当に覚悟のいるものなのだと考えさせられました。2015/05/16
籠り虚院蝉
3
ジャーナリズム、というと聞こえは良いが、新聞に限らず近年の報道界隈は相当腐敗している。東日本大震災を契機に「日本の非常事態」を経験した身でありながら、現況の身勝手な政権への批判のやんわりさは目に余るものがある。特に会食等の政権との癒着具合は欧米なら即刻クビどころか、名前が触れ回ってジャーナリストとして生活できなくなるレベルのことだ。結局のところ日本のジャーナリズムはまだまだ幼稚であり、職業人としての倫理観が欠如していると言わざるを得ない。2015/10/30