岩波ブックレット
科学のこれまで、科学のこれから

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  • サイズ A5判/ページ数 71p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784002709024
  • NDC分類 400
  • Cコード C0336

内容説明

STAP細胞だけではない、国際的に頻発する論文不正事件の数々。多くの人々の生活をこわした原発事故も、科学・技術の暴走ということと切り離せない。私たちの好奇心を満たし、快適な生活をもたらすはずの科学が、なぜ、これほど異様になってしまったのか。もつれあう問題群をひもとき、これからの科学の方向性を提示する。近代科学の問い直し作業を進めてきた池内科学論のエッセンス。

目次

第1部 科学のこれまで(要素還元主義の科学;「新発見」の過大な評価;「役に立つ」科学への傾斜;科学の国家への従属;最近の科学の不正・疑惑事件;科学の不正・疑惑事件の直接的な背景;科学の終焉)
第2部 科学のこれから(要素還元主義からの脱却;トランスサイエンス問題;科学者の評価の視点を変える;オープンサイエンス)

著者等紹介

池内了[イケウチサトル]
1944年生まれ。総合研究大学院大学名誉教授、理学博士。専門は、宇宙論・銀河物理学、科学・技術・社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

23
普段は平穏に見える自然は巨大な力を内に秘めており、あたかも自然を征服したかのように傲慢に振る舞いたがる人間に反省を迫ることになった(2頁)。南木曽町の惨事。ご冥福をお祈り申し上げます。憶測もなく大資本に奉仕することばかりに傾注して、市民の安全性や未来世代の人間への大きな負担を考えない科学者でよいのだろうか(19頁)。大学の実態は、予算確保のために成すべきことを無理やりつくり出す(27頁)。これでは本末転倒も甚だしい。科学の商業化の波(38頁)は、小保方さん問題を生んだような印象を受ける。 2014/07/10

ちょび

8
現在進行中の「新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会」の委員長でもある池内了氏の著書。今の科学(者)には倫理観が全く欠如していて「異様」だと頻繁に口にする。自分の興味のみだけに視界を狭めるのではなく、過去=現在=未来につながる(通時性の思考)を根底に研究しなければいけないと。「今だけ、金だけ、自分だけ」の今の世の中が本当にこれで良いのか?と真剣に考える研究者はとても貴重な存在だと思う。とても読みやすく科学界の在り様もわかり良かったです。2020/11/18

神瀬威彦

4
科学、というよりも、学問全体が限界に来ているのではないか。 細分化し、専門性を高めることばかりに拘泥していた「これまで」のあり方を転換していくべきだという考えに同意。 様々な学問が融合した、「教養」の復権を願う。2019/10/24

plum

3
これまでの要素還元主義の科学は限界をきたしているのに社会は役に立つ科学への傾斜を強めている。倫理が欠如し,未来への想像力を失った科学者や技術者は信用されない。これからは,要素還元主義から脱却し,通時性の思考を回復して予防措置原則や功利主義への疑いをもって複雑な等身大のあるべき人間の幸福のための科学・技術を探索するべきだ。なぜだか天地明察や吉野弘の詩の世界観につながっていくように思えた。2015/02/05

みくきのこ™

3
読んでいていい気分にはなれなかった。iPS細胞が実用化するのはまだまだ先なのに騒いでいるだけだというようなニュアンスを含んだ文章が来たと思ったら時間のかかる等身大の科学とは… 科学をただ批判したいだけのようにも感じてしまった。時代が進むに連れて新発見に時間と資金がかかるのは、すぐに見つかるようなものが発見しつくされているからであって、当たり前ではないかと。唯一いいと思ったのは、論文を作るだけの科学者が大勢いるため、今のシステムを変えなければいけないという点。2014/07/17

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