仏教のなかの男女観―原始仏教から法華経に至るジェンダー平等の思想

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  • サイズ A5判/ページ数 432p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784000246224
  • NDC分類 181.02
  • Cコード C3014

出版社内容情報

仏教は女性差別の宗教か.原始仏典の徹底的読込みを通して,釈尊の教えが女性の宗教的救済を認め,真理への覚醒が誰に対しても開かれている平等主義の立場に立つ普遍宗教であったことを明らかに.仏教理解の根本を究める労作.

内容説明

本書は、パーリ語、サンスクリット語で書かれた原始仏典の徹底的な読み込みを通して、釈尊の教えが、女性差別を当然視するバラモン教的な人間観を批判するなかから生まれ、本来、積極的に女性の宗教的救済を認める方向性をもっていたこと、真理への覚醒が誰に対しても開かれているとする平等主義の立場に立っていたことを明らかにする。著者はさらに、原始仏典と漢訳仏典とを比較しつつ仏教史の流れをたどり、釈尊入滅後、徐々にインド一般社会の男尊女卑的差別思想が仏教教団に浸透し、教団が保守化する中で、「三従五障説」に象徴されるような女性差別が定着し始めたこと、またそうした状況に対する批判として大乗仏教が起り、なかでも法華経が一仏乗の思想を標榜し、男女平等を説く新たな思想として誕生したことを論証する。米国仏教研究界で注目を集めた英文図書を大幅増補。

目次

序章 「仏教とジェンダー」研究の略史
第1章 仏教の基本思想と女性の平等
第2章 原始仏典の溌剌たる女性たち
第3章 ヒンドゥー社会の女性蔑視
第4章 部派分裂で加速する女性軽視
第5章 大乗仏教による女性の地位回復
第6章 「変成男子」の意味すること
第7章 不軽菩薩の振舞に見る男女平等
第8章 善男子・善女人に見る男女平等
第9章 平等の根拠としての一仏乗
第10章 結論、および今後の課題

著者等紹介

植木雅俊[ウエキマサトシ]
仏教研究者(東方学院)。1951年生まれ。九州大学理学研究科修士課程修了。東洋大学文学研究科博士課程中途退学。86年に東洋哲学文化賞受賞。91年から東方学院で中村元氏の下でインド思想、仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。中村元氏の推薦でGender Equality in Buddhismを出版。本企画の原論文「仏教におけるジェンダー平等の研究―『法華経』に至るインド仏教からの考察」でお茶の水女子大学から人文科学博士の学位を授与される(男性では初めて)。日本ペンクラブ会員、日本印度学仏教学会員、仏教思想学会会員、比較思想学会会員
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感想・レビュー

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ナコち

1
専門書では稀に見る良作である。 原始仏典と漢訳仏典の比較、梵語、パーリ語から読み取れるものを、丁寧に日本語訳で解説。いかに歴史の流れで釈尊滅後、男女差別が浸透していったのかが解る。そうした状況下で生まれた大乗思想。法華経に編纂されたお経は12番が含まれなくとも、男女平等を謳ったものであるのは、本書を読めばわかるものである。「変成男子」の文字に囚われず、真意を導き出せる労作である。 「変成男子」は決して差別から生じたものではない。それが理解できるだけでも価値ある一冊だ。2012/10/27

さくちゃん

1
インド原典の緻密な分析と考証から、佛教の普遍的平等思想を今日に蘇らせた労作2009/02/19

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