内容説明
「行い」「行動」などを人間存在の基底をなす条件として捉え、学問対象として扱う行動理論。この行動理論が、人間と社会に関する諸科学のなかでどのように形成され発展してきたのかを解明した学術的な入門書。
目次
第1章 人間行動の自然史理論
第2章 人間行動の社会史理論
第3章 心理学の行動理論
第4章 隣接諸科学の行動理論
第5章 人間行動学の成立と展開
第6章 展望―行動としての意識
著者等紹介
南博[ミナミヒロシ]
1914‐2001。1940年京都帝国大学哲学科卒業。1943年コーネル大学大学院卒業。1948年東京商科大学講師、1958年一橋大学社会学部教授、のち名誉教授。日本心理センター所長を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
90
南先生の本を再度読み直しました。むかしは社会心理学とでもいうべき分野であったのでしょう。最近の行動経済学の絡みから読み直してみました。古い文献ですが、当時としてはこのような様々な分野にまたがる学問というのは珍しかったのではないかと思いました。南先生のベストセラーとなった「記憶術」という本も棚の奥から探して読みなおしてみようかという気になりました。2019/06/20
kaizen@名古屋de朝活読書会
18
岩波から「「行い」「行動」などを人間存在の基底をなす条件として捉え,学問対象として扱う行動理論.この行動理論が,人間と社会に関する諸科学のなかでどのように形成され発展してきたのかを解明した学術的な入門書」アメリカの実用主義・実証主義(pragmatism)の成果の一つとして、心理学とは異なる軸で分析する上で大事な理論。行動工学に発展している。2020/03/07
たかね@心理学
4
歴史から諸科学との関連まで。小さな本だが書かれていることは詳細かつ幅広い。『動物心理学史』に書かれていない発見があり重宝した。内容が難しいこともあり、要再読。2015/05/01
ぽん教授(非実在系)
3
著者は古い世代の社会心理学者であり、内容も古典的である。だからこそ(?)心理学史にとどまらない、社会学や哲学なども含めた幅広い意味での人間の行動理論の学説を網羅している。社会心理学が社会学と未分化だったころの学風を追憶することができて、自分はこういうことをしたかったのかもしれないと思いを馳せた。2019/05/22