出版社内容情報
人類学は周辺部の異族を対象とし,その世界を思想化することによって「人間=人類の学」であろうとした.だが今日人類学ももはやその特権的な位置にはいられない.本巻では文化人類学の思想としての営為を歴史的展望のもとに検証する.
目次
第1部 『未開』の思想の系譜(「異文化」展示の系譜―もうひとつの人類学史・素描;差異のとらえかた―相対主義と普遍主義;しなやかな野生の知―構造主義と非同一性の思考)
第2部 再生産されるロマン主義(カーゴカルトの語り口―ある植民地的/人類学的言説の顛末;ふるさとイメージをめぐる実践―岩手県遠野の事例から;「正しい」他者となること―大戦間のバリをめぐって)
第3部 主張する周辺世界(受容から抵抗へ―アボリジニの生活の展開;近代への別の入り方―ブラジルのインディオの抵抗戦略)
第4部 人類学批判と人類学者(ポストコロニアル批判を越えるために―翻訳・ポジション・民族誌的知識)