出版社内容情報
他人のもめ事に首をつっこみ,実らぬ恋に身をこがし,奮闘努力のかいもなく,いずこともなく去るフーテンの寅…….寅さんのやさしさを撮り続ける著者が,映画現場の人間教育,独特の学校教育批判など,縦横に語る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
75
2016年386冊め。実は映画は一作も観たことがないので、「寅さん」というキャラクターがどういった背景を背負っているのかこの本を読むまで知らなかった。生みの母親に捨てられ、父親からはひどい仕打ちを受け、それでも曲がらなかった「寅さん」はどういう教育を受け育てられたのか。映画「学校」の撮影前夜話もあり。2016/06/09
へくとぱすかる
49
もちろん映画の制作をめぐる話から始まるが、そのまま教育論として読める。山田監督自身の生い立ち、渥美清さんとの出会いから、映画を作るときの俳優さん、スタッフの人々とのやりとりを通して感じ、知った多くの貴重な事柄。刊行以来、ひと世代分の時代の移り変わりはあるが、教育の問題は今もそんなに変わらない、いや、より深刻になり、人の心の荒廃も進んでいないか。そんな気がしてならない。寅さんや夜間中学の映画が心を打つのは、世界から失われかけている暖かさへの希望が感じられるからだ。人間は機械の部品ではないことを忘れたくない。2021/01/01
Takao
5
1982年12月3日発行(初版)。このところ、教育関係の新書を読み進めているが、ちょっと息抜きのブックレット。34年も前の出版。読んだことがあるような気もするが記憶が定かではない。『男はつらいよ』の監督が渥美清や寅さんの映画を語っているのだが、監督と俳優やスタッフというのはちょうど教師と生徒・子どもたちとの関係に似ている。いまの教育は徹底して無駄が排除されているように感じるが、そうした効率性は教育という営みに馴染まない。張り詰めた糸でなく、遊び、ゆとりが必要だ。今年8月4日は、寅さんが亡くなって20年。2016/08/10
袖崎いたる
3
山田洋次が寅さんに託した想い。2019/09/05
望月一彦
1
岡出山図書館2020/01/22