出版社内容情報
ナチを逃れパリを脱出する際,バタイユらに託された膨大な断片群.19世紀の思想・芸術・物質文化に目を凝らし,実現しなかった歴史の可能性をさぐる本書は,20世紀の危機と希望の証言であり,21世紀への知的遺産である.
内容説明
遊歩者(フラヌール)は都市を自分の夢の中に引き込み、街路は彼を遠くに消え去った時間へと連れていく、追憶と陶酔にひたって通りを散策する者は、目に映りゆく過去の建造物や読書の知識を自らが経験したもののように覚醒させる。遊歩者はこうして歴史の瞬間に立ち会う。プルースト的時間論を展開してベンヤミン自身の追悼的想起論を探究する「K」「L」「M」、都市の経験と近代の行為を洞察する「O 売春、賭博」など、思想的方法論が文学的につづられる美しい断章群。
目次
K 夢の街と夢の家、未来の空間、人間学的ニヒリズム、ユング
L 夢の家、博物館、噴水のあるホール
M 遊歩者
O 売春、賭博
P パリの街路
Q パノラマ
T さまざまな照明
V 陰謀、同業職人組合
Z 人形、からくり
k コミューン
m 無為
p 人間学的唯物論、宗派の歴史