負ける建築

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  • サイズ B6判/ページ数 244p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000021593
  • NDC分類 520.4
  • Cコード C0052

出版社内容情報

社会や生活の変化にも不動の位置を占め,周囲の環境を支配し続ける20世紀型「勝つ建築」は,その強さゆえに疎まれる.これからは,もっと弱くて柔らかい,「負ける建築」でなければならないのだ.気鋭の建築家による,未来の建築論.社会や生活の変化にも不動の位置を占め,周囲の環境を支配し続ける20世紀型「勝つ建築」は,その強さゆえに疎まれる.これからは,もっと弱くて柔らかい,「負ける建築」でなければならないのだ.気鋭の建築家による,未来の建築論.

★この本をお薦めします★~紀伊國屋書店梅田本店・森永達三
「負ける」というタイトルの言葉には、決してネガティブな意味が込められているわけではないものの、根本的に重厚長大産業である建築に対し著者が様々な限界を見出していることは確かなようです。ケインズ経済やバブル経済など、これまで建築を支えてきた経済的裏づけが失効した現在、建築にはどのような道が残されているのか。私のようなズブの素人でも引き込まれてしまうくらい、広くて深い著者の洞察に勉強させられます。

内容説明

都心に屹立する摩天楼、郊外に建ち並ぶ一戸建て住宅群…。流動する生活を強引に凍結して記念し、周囲の環境を圧倒する二〇世紀型の「勝つ建築」は、いまやその強さゆえに人びとに疎まれている。建築はもっと弱く、もっと柔らかいものになれないだろうか。さまざま外力を受け入れる「負ける建築」の途をさぐる、気鋭の建築家の手になる「受動性の建築論」。

目次

1 切断、批評、形式(切断から接合へ;場と物;批評性とはなんだったのか ほか)
2 透明、デモクラシー、唯物論(淋しいほどに透明な(デ・ステイル)
デモクラシーという幻想(シンドラー)
デモクラシーの戦後(内田祥哉) ほか)
3 ブランド、ヴァーチャリティー、エンクロージャー(公・ブランド・私;風俗住宅;コンクリートの時間 ほか)

著者等紹介

隈研吾[クマケンゴ]
隈研吾建築都市設計事務所代表。慶応義塾大学理工学部教授。1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あすなろ

73
9.11にて資本主義と富の象徴とも言えるワールドトレードセンターが一瞬にして小さな粒子へと粉砕されてしまった。そして東日本大震災。更にこの本には書かれていないが今世にはコロナ禍である。それまでの時代時代の建物が新しい時の流れに無力で抗えず負けて行く変遷を経済と融合させて書き記す建築理論。そして、上記の歴史的ポイントで変節する様々な建設の歴史と今後が示される。こうした観点での建築の本を読んだことがなく、興味惹かれ読了。そして今また正に変節期であることは間違いなく、どういった新しい建築物が登場してくるのだろう2020/12/20

ビイーン

28
隈氏が語る近代建築史を通して、隈氏の考えを少しだけ理解できた気がする。隈氏いわく「共同体が閉じ、外部を失った時、人々は負けを擬装し、内輪の人間関係を保ち、自らを守ろうとする。負けるが勝ちなのである。」という。負けるレトリックの裏側で、それでもまだ建築は強く「勝つ」という現実が見える。隈氏は勝つ宿命を自覚することが重要と言いたかったのだろうか。2019/11/24

nbhd

23
とにかく、読む快感がずっと続く。しかも、その快感の領域が、心にとまった一文を書き写せばいいくらいの規模ではなく、もう一度読み直したほうがはるかに早いくらいの規模で続く。だから、困る。ボリュームにおいても資本主義の論理においても「勝つ建築」が20世紀末に次々と壊死していくなかで、ひとすじの光として、受動的な「負ける建築」に賭けるため、歴史上の負けた建築を批判的に検討するといった内容。建築っていうか、思考の形態史の話だ。読んでいるときは瞬間瞬間に鮮明に感動したのに、読後は耳がツーンとするくらい呆けた。困った。2017/05/07

i-miya

8
2006.05.18 P125 日生日比谷ビル(日生劇場)  1963 村野籐吾  アール・デコ博1925   ガウディのようでもあるが  様式主義建築  窓、エレベーションが崩れる   コルビュジェ  近代建築5原則   ピロティー P132 宇部市民会館1937 村野籐吾  アール・デコ類似 理念の欠如 なぜ長く生きる? 日本的装置  数奇屋  P135 吉田五十八(いそや)  村野籐吾、マルクス資本論読む P142 三愛ドリームセンター(図56)なぜ 銀座4丁目 P150 ヴェニス・ビエンナーレ952006/05/18

ぜっとん

6
洞察に関しては興味が持てるが語り口は説教臭さを免れない。神話的なモノ、というか無批判によしとされているものを批判していこうとする姿勢はいいのだが、ガキの悪口のレベルに堕している部分もしばしばあって、モダニズムに関しても何に関しても、見るべき部分を語ることがあまりに少ないので、物質だ体だと言いたがるだけで文体的には先祖がえりしている部分がある。エッセイというものの性質上ある程度は仕方ないが。「負ける建築」というネーミングも「負けるのがかっこいい」文化の中での勝ちを目指したレトリックみたいできな臭い。2013/11/09

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