目次
はじめに 橋本文雄、あるいは録音技師の仕事
第1章 マイクを振る場所を決める―大映・助手時代
第2章 音にだって序列がある―日活製作再開初期の頃
第3章 スタッフが押しあげた“日活ヌーヴェル・ヴァーグ”―中平康作品を中心に
第4章 くぐもった音から明朗な音へ、そして…―日活アクションの音
第5章 女優の喘ぎ声も、雨の音も―ロマンポルノのオール・アフレコ
第6章 音によって画面は安定するし、逆に不安定にもなる―沢井信一郎と阪本順治
第7章 “作りもの”の世界における音の二つのあり方―鈴木清順と森田芳光
終わりに・あるべき音を消す、編集を予測する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Zen-zen
1
助手時代を含めれば、録音技師人生64年(!)。昨年の「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」で惜しくも引退された橋本文雄さんに評論家の上野昂志がインタビューした大部な書。「現場のシンクロの音」を最重要視しつつも大胆に音を省略することで知られた橋本さんが、「音で映画の時間の流れを作る」クリエイターとしての信念と技法を熱く語っている。きちんと作劇術・ポリシーを持った映画人に、知識と見識のあるインタビュアーがインタビューした本は本当に面白い。読んでいてワクワク興奮する。映画好き必読の一冊。2012/02/24