内容説明
狂気の詩人が遺した奇怪な詩。その中に述べられている永劫の歳月を経た黒い石碑の恐怖を描く「黒い石」。ミスカトニック大学の教授達を訪れた“私”が見た1960年代のアーカムの変貌ぶりを語る「アーカムそして星の世界へ」。1世紀に1度、キングスポートで執り行なわれるという伝承の祝祭を凄絶に描写したラヴクラフトの「魔宴」等、外宇宙の闇の恐怖を描いて、ますます佳境に入るクトゥルー神話連作集成。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
73
ラヴクラフトの「魔犬」「魔宴」に他作家を含めた全11編。魔術的な物から外宇宙の驚異へと概ね発表順になっているようです。ラヴクラフトの2編はもとより、変わった所ではその顛末に落語かよっ!と思ってしまったスミスの「七つの呪い」、ラヴクラフトの「時間からの影」をダーレス風にリメイクした様な「異次元の影」、ミステリー味も感じる「風に乗りて歩むもの」が印象に残り、最後に収録された「アーカムそして星の世界へ」では短いながらも大御所総出演の虚実交わる物語に興奮してしまいました。今巻も面白かった。2021/08/14
シン
30
11篇収録。 話のバリエーションも色々出てきた感じ。 邪神たちもやたら出てきた印象。 展開は基本ワンパターンなので面白いかは微妙だが、 こういうの好きだなというのがクトゥルフの魅力なのかな。 「七つの呪い」なんて今の作家が書いたらこき下ろすレベルのひどい出来だと思うが、クトゥルフにまじるとなぜか嫌いになれないし。 「闇に棲みつくもの」のラストはなんか笑ってしまった。 「奇形」「魔犬」なんかは時代劇的なお決まりの楽しさ。 この表紙は好み。2017/09/24
ヴェルナーの日記
25
本作には、ラグクラフトの『魔犬』、『魔宴』が収録されており、後のF・B・ロング『ティンダロスの猟犬』へと繋がる。この猟犬に見られると、永遠に追いかけられ、最後には食い殺されてしまう。ただし、人間が存在する3次元に出現するには、角度のあるモノが必要で、極論をいえば自分の周りを総て丸くしてしまえば、追いつかれない(実質、不可能だが)。また、『異次元の影』は登場する"イスの偉大なる種族”は、精神生命体で、次元を超越し相手の身体と入れ替わることが出来る生物で、あらゆる次元に跳躍し、安住の地を捜し求めている。2014/12/07
テツ
15
様々な作家の様々なクトゥルー物の物語の中でもスミスの『七つの呪い』がすごく好きなんですよね。儀式の邪魔をしたせいで呪いをかけられ人間では理解し得ない超越した存在達に捧げられそうになるが行く先々で「いらない」と言われたらい回しにされる恐怖。そしてラストで彼を襲う宇宙的な悲劇。……恐怖と悲劇?いやこれどう読んでもコメディだよな笑2016/10/10
ノーネーム
5
クトゥルー神話の短編集。生物の始祖たるウボ=サスラ、ダーレスの四元素論に基づいた闇に棲みつくもの、イ=スの大いなる種族と思わしき存在が登場する異次元の影。ラブクラフト作品のキャラクターが一堂に会するアーカムそして星の世界へ。かいきものを中心にしつつ、そこから徐々に裾野を広げようとしている空気を感じさせる小説群。2021/12/19