内容説明
もう行けない店、味わえない味、酔っ払えないカウンター。…100人の記憶と100軒の「二度と行けないあの店」。
目次
大島の漁師屋台―都築響一
羽田の運河に浮かぶ船上タイ料理屋―矢野優
甘くて甘くて、怖い雲―平松洋子
もう二度と味わえない、思い出の「1セット」―パリッコ
まちがいなく生きものがいた―いしいしんじ
あってなくなる―俵万智
北京に捨ててきた金正日―向井康介
煙が目にしみる―玉袋筋太郎
ホープ―水道橋博士
渋谷駅、スクランブル交差点周辺の数百軒―江森丈晃〔ほか〕
著者等紹介
都築響一[ツズキキョウイチ]
1956年東京生まれ。1976年から1986年まで「POPEYE」「BRUTUS」誌で現代美術・デザイン・都市生活などの記事を担当する。1989年から1992年にかけて、1980年代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アートランダム』を刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。1997年、『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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空猫
41
辞書のような厚み。100人100様のエッセイ。「二度と行けない」とは「閉店」以外に「トラブル、恥ずかしい思い」で「顔向けできない」や「酩酊状態でないとたどり着けない」「美しい思いでのままにしたい」など十人十色の原因があった。難を言えばこちらが知らない人の話には共鳴できなかったが。思い出のついで、といった話もあり飽きない。挟まれる写真のシュールさも良い。借りて読む本でないかった。じっくり一話ずつ、時間をかけて読みたい本。2022/01/03
ばんだねいっぺい
36
あー、これは、いい企画、いい本。100人が語る「二度と行けないあの店」の思い出。人の思い出の中に勝手に自分の思い出が浮かび、感情のツボを押されて涙腺がゆるむ。2021/04/07
あじ
33
几帳面に整えられた店構えを担保に入店するも、結末が泣き笑いだったいしいしんじさん。密入国と二回の強制送還でビザ発給停止になった高野秀行さんが恋しがる、現地の名物料理とは……?誰もがスケッチできる“外食の思い出”を束ねた総勢100人によるアンソロジーエッセイ。どうして“二度といけないのか”それには様々な理由があるのですね。福袋でありお楽しみ袋でもあり、執筆陣のネームに一喜一憂しちゃいました。2021/06/24
tom
16
100人が「かつて行ったことのあり、今はなくなってしまったお店」の記憶を語る。記憶に残ってるくらいだから、良い思い出も悪い思い出もあるのだけど、圧倒的の多いのは、もの悲しい内容。現在の自分から見る過去の出来事というのは、もの悲しさとリンクして記憶に留められるものなのかもしれない。まあ、「二度と行けない」というフレーズから生み出されるノスタルジーというものかも。ということで、読んでいてちょっとしんどくもあった語りの本。私としては、前作のTシャツの記憶の方が楽しかったのでした。2021/06/18
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
14
この分厚い本が1ヶ月半で3刷ってすごいな!著者の有料メルマガに連載された100本のストーリー。メルマガにかける思いを、字数を気にせずリリースできるから、と語っていらっしゃるのを目にしたけど、字数を気にせずにネット上で連載されたものを紙の本にするとこうなるのだな。今は存在しない料理店の思い出が詰まった「役に立たないグルメガイド」、だって店がもうないから。記憶の糸を手繰り寄せるグルメガイドは、いずれもセピア色(ぷっ)を纏っている感じ。食べたものではなく、食べた自分への思いが綴られているようだ。2021/11/29