出版社内容情報
ドイツ人女性の視点が日本文学の本質を鋭く見抜く。吉田秀和夫人の本邦初の著作集成。加藤周一氏絶賛。
内容説明
女性による文学が極めて重い役割を果してきたこと、小説に対し“随筆”が独特の重みをもつこと―東洋文化に憧れ、荷風をこよなく愛した著者が、日本文学の本質を鋭く見抜き、伝統の通奏低音を失うことなくヨーロッパ文学と格闘してきた日本近代文学者たちの姿を浮彫る。
目次
1 日本近代の文学者たち(田山花袋―肩越しにみた田山花袋『蒲団』;永井荷風―都市を遊歩する『〓(ぼく)東綺譚』 ほか)
2 日本文学のとらえた光と影(「エッセー」と「随筆」―筆にしたがって;女の文学―現代日本の女性による短篇小説を読む ほか)
3 日本文学、いくつかの発見(三島由紀夫、逆立ちしてみせた伝統主義者;アール・ヌーヴォの川端康成 ほか)
バルバラの肖像(バルバラと「縫いぐるみ奥さん」―姉エヴァは語る;バルバラとフランケ教授―変わらぬ友情 ほか)
著者等紹介
吉田=クラフト,バルバラ[ヨシダクラフト,バルバラ][Yoshida‐Krafft,Barbara]
1927年ベルリン生。52年ハンブルク大学入学、中国学専攻。55年、明の詩人・評論家の王世貞に関する博士論文で博士号取得。同年8月、日本国文部省招聘留学生として来日、東京大学中国学専攻の倉石武四郎に師事。57年、帰国しハンブルク大学中国学研究室助手となる。59年5月再来日、以降東京ドイツ文化研究所において日本文化と社会の理解を深め、日本文化、日本文学についての文章を発表。2003年没。永井荷風の他、川端康成、宇野千代、現代日本の随筆、現代日本女流作家の短篇集などの訳業がある
吉田秀和[ヨシダヒデカズ]
1913年東京生。音楽評論家、水戸芸術館館長。東京大学仏文科卒。1990年度朝日賞受賞、2006年文化勲章受章
濱川祥枝[ハマカワサカエ]
東京大学名誉教授。ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。