内容説明
日本人に最も親しまれる仇討ち物語「忠臣蔵」は、いまだに刃傷事件の原因すら分からず、多くの謎を秘めている。悲劇の浅野内匠頭と悪辣な吉良上野介という構図は事実にほど遠い。高家筆頭の吉良上野介は、朝廷との外交を取り仕切る将軍側近の中心的人物。後西院天皇の譲位、綱吉将軍の継嗣問題に深く関与していた。赤穂事件は綿密な計画のもとに練られた政変劇であり、その黒幕は朝廷内の実力者・近衛基熙だった!政治事件としての「忠臣蔵」に初めて光をあてた衝撃の書。
目次
第1部 吉良上野介(上州白石村;作られた上野介像)
第2部 風さそう花(殿中刃傷;謎の文書二つ;事件をめぐる諸説について;刃傷事件は政治事件だった)
第3部 さまざまな暗闘(上野介はなぜ殺されたのか?;吉良邸茶会;事件の黒幕「近衛基熙」;忠臣蔵、本当の謎)
著者等紹介
円堂晃[エンドウアキラ]
1952年生まれ。1974~2001年まで神奈川県、群馬県で中学校国語教員。専門の日本文学の他に歴史と古美術に興味を持ち研究にあたる。とくに日本古陶磁器に明るい。2005年、第一作となる『「本能寺の変」本当の謎―叛逆者は二人いた―』(並木書房)を発表。群馬県太田市在住。円堂晃は筆名(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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リードシクティス
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従来浅野内匠頭の私怨によるものとされてきた松の廊下事件は、甲州派VS紀州派の徳川将軍後継争いが絡む暗殺未遂事件だったという解釈が面白かった。暗殺を命じられたのがなぜ浅野内匠頭だったのかなど、いまいちよくわからなかったところや、多分に空想が入ってると思われるところもあったけど、前作同様、読んだ後には事件の見方がまるで変わってしまう説得力があった。特に、赤穂浪士討ち入り事件の後、紀州派に連なる人物が短期間のうちに死亡していった事実を突き付けられると、空恐ろしい気分になって来る。2011/02/27