内容説明
共和政が倒れ、皇帝による独裁政へと移行する時代背景のなか拡大へ向かうローマでは、ローマ市民権をもたない兵士からなる補助軍が辺境警備に大きな役割を果たし、正規軍団と並ぶほど重要な存在になっていった。本書はカエサル暗殺から、ローマの最大版図を実現した皇帝トラヤヌスまでを範囲とし、正規軍団、補助軍をあわせて編制と装備を解説している。装備品の解説は、復元を手がける著者によって類を見ないほど詳細に語られており、カラーイラスト、貴重な写真とともに、ローマ軍についての豊富な知識を与えてくれる。
目次
軍の編制
入隊、訓練、戦場での日課(行軍と行軍野営地)
武器と鎧(胴鎧;兜;剣;楯;ジャヴェリン(投げ槍)
軍用ベルトと短剣)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
2
わかり難いという印象しかなかったですが、精読してみると、薄くても解説の密度、イラストのクオリティーともにかなりのものでした。特に現代の常識とは違うのでモヤっとしか理解出来なかったローマ軍の編制が、解説をしっかり読むとかなりはっきりしたイメージを得られたのは収穫でした。翻訳が淡泊なので、それがわかり難さでもあるのですが、必要な名称はちゃんとラテン語でも表記されているのがうれしい。辞書にもはっきり載っていないマニアックな単語があっても、変な翻訳を当ててそこから調べられなくなるよりははるかに親切でした。2017/07/14
すずきん
0
装備焦点を当て、実物の写真や装備のイラスト、一式身につけた兵士が様々なポーズで載っている。ボリュームが少ないのだけは難点だが、資料として貴重なシリーズ。2015/12/23
ヤスミン
0
正規軍団(レギオン)と補助軍団の間には際立った社会的差別がありローマ市民権をもたない補助軍団は蔑視されていたようである。それでも補助軍団の果たす役割は大きく行軍の先頭を進んだり敵の散兵を追い払ったり非常にリスキーな役割であった。行軍の並びの構成などが詳細に書かれていたり、野営に使った羊の皮のテントの図、ローマ軍が履いていた編み上げ靴や兜の復元写真は非常に参考になった。ページ数は少ないが視覚的に情報を得たい方にはオススメする。2010/08/28
サアベドラ
0
共和制末期~帝政前期(の最初のほう)のローマ軍の兵装を解説した本。スパタ、グラディウス、ロリカ・セグメンタータなどにピンと来る人は必読。