内容説明
精緻なリアリズムが神秘的な象徴を具現化して生まれた奇跡の祭壇画。本書では、隠された象徴的意味について、文化史的に解釈される美術的革新と同様、詳しく論究される。単に様式分析的になされた、あるいは宗教的意味内容を一面的に強調した解釈に対して、著者はフス戦争と公会議運動にあらわれた宗教改革前夜の教会革新のための諸提案と関連させて、この記念碑的絵画の政治的機能の再構成を試みる。
目次
序章 ヤン・ファン・エイクにおける自然主義と象徴主義
第1章 平日礼拝面(閉じた状態の構成;約束の領域:預言者と巫女;受胎告知の領域;寄進者夫妻像)
第2章 日曜礼拝面(堕罪と救済:最初の夫婦;奏楽の天使:「新芸術」による天国の賛美;教皇の正装をした父なる神・デエシス;教会の象徴としての神秘の仔羊;進み行く人々の群れ)
第3章 ヘントの祭壇画の神学的プログラムとイデオロギー的意義(現世の時と方位;教会の危機克服のための聖職位階制度と平等原理についての考察;フス派の挑戦)
第4章 補遺(《ヘントの祭壇画》の受容と研究史)
著者等紹介
シュナイダー,ノルベルト[シュナイダー,ノルベルト][Schneider,Norbert]
現在、ビーレフェルト大学史学哲学部で美術史の教授。研究分野は多岐にわたり、中世と近世初期および19世紀美術のほか、美学と芸術学の方法論について多くの論著を公刊している
下村耕史[シモムラコウジ]
1942年、福岡市生まれ。1968年、九州大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、九州産業大学芸術学部教授。西洋美術史(とくに北方ルネサンス美術)専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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T.Y.
kamachirui2