内容説明
ヨーロッパ最古の民といわれるケルト人のなかに、島のケルトと呼ばれ、ブリテン島の南西の一角に活躍したウェールズ地方の住人―カムリ人がいた。そしてここに、彼らの言語文化の宝とされる一冊の物語集が存在する。アーサー王伝説の原形を内包するといわれるこの物語集は、1920年代からいくたびか邦訳され、紹介されてきた。しかし、いずれもが英訳本をもとにした部分的な翻訳であった。本書、中世ウェールズ幻想物語集『マビノギオン』は、ウェールズ語原典復刻本『ヘルゲストの赤い本』ならびに『レゼルッフの白い本』をもとにした、初の完訳である。