出版社内容情報
うがち損ないの精神
この世のありとあらゆるものをデザインで打ち返さないでは
いられなかった、退屈にしてしんどい太平時代を生き抜くための
江戸人の世渡り術。嗚呼、エロ・パラダイス!
名著『江戸のデザイン』から30年の雑文集成
【目次】
芸
首がぬっと出る八岐の大蛇――エゴイスト撲滅の石門心学における話芸
天よ、御照覧あれ――江戸八百八町、屋台崩しの「ガァラガァラ」
うがち損ひ、おそれ山ねこ――洒落という言語デザイン
エヘンエヘンの口上――人寄せの極意、お立ち合いのロジック
乗合船の蜃気楼――第二回こんぴら大芝居を見て
夜明けの障子――濃密なる「仮」の精神
羽織袴にきゃしゃな下駄――土佐っぽ中江兆民と深川生まれの高田半峰
太平の花火――その「はかなさ」と「ぜいたく」
ほらを吹く風呂敷――手に持つか背負うべきか
箸のもち方――飯を口中に押し込むショベル
水の芸――咸臨丸と滝の白糸
「江戸の大相撲」は「動く盆栽」である
デザイン
江戸凧――お供はつらいね
花札――素札の心意気
千社札――斜に構える
千代紙――千代に八千代に
看板――かまわぬ、入れ
半纏(火消し半纏)――破壊の神
半纏(祭りの半纏)――山の神のファッション
手拭――豆絞りの心情
団扇――風しづかなり
歌舞伎のデザインの奥――天台宗の稚児論議と子役のセリフまわし
江戸のデザインの「明度」について――日光東照宮からアームストロング砲まで
幕末のCI戦争――鍋島藩のホームスチール
敵の首級――おぞましいかな、家紋の単純美
江戸のポトラッチ――千社札交換会における崇高な破産
縞の神秘――虎のいない江戸の虎、虎のいる朝鮮の虎の絵
割れる皿
花
花の決闘――歌舞伎「鏡山旧錦絵」のフラワーデザイン
花鳥風月、雪月花
二条城の菊の御紋――家康の辞退と家光の擬装
菊人形の顛末――菊の「花壇造り」から菊の「形造り」、そして菊人形
極東の花――ローエルの「極東の魂」に触発されて、日本の花のつく言葉をあれこれ考えてみる
火事/松浦静山
祝融の怒り――平戸藩主松浦静山候補物控「天保の大火」
浅草生まれの風流大名――松浦静山の「精神満腹」的考証癖
打てば打たる櫓の太鼓――臆病風と江戸の火事
セックス
佃多の帰帆――英泉の「辰巳八契」のうち
マゾヒズム・パラダイス――岡場所深川における地獄の侠気
責めるが勤め、責められるが勤め――歌舞伎の責め場と伊藤晴雨の責め絵の関係
四十八手大見物――セックス体位の情理
富士
移動する富士――司馬江漢の七里ヶ浜
富士を背負う――横浜は都市デザイン計画で、霊峰「不二」をとりこめるか
「急峻な富士」の秘密
あやかり富士
跋文
私はかつて草森紳一本の全冊揃えをこころざしたことがある 坪内祐三
内容説明
うがち損いの精神。この世のありとあらゆるものをデザインで打ち返さないではいられなかった、退屈にしてしんどい太平時代を生き抜くための江戸人の世渡り術。嗚呼、エロ・パライダイス!名著『江戸のデザイン』から30年の雑文集成。
目次
芸
デザイン
花
火事/松浦静山
セックス
富士