内容説明
雑誌『新青年』は、大正9年(1920)に創刊され、昭和25年(1950)の終刊まで、31年間に亘って発行された。大正デモクラシーの時代に、農村の青年向けに発行されたこの雑誌が、推理も怪奇も幻想もユーモアもひっくるめた「日本独自の探偵小説」を開発し、また昭和モダニズムをリードしたことは疑いない。そして、その国際感覚に富んだリベラルな精神は、戦争期をどのように迎えたか…。『新青年』の頁を繰るたびに、われわれは時代の先端の匂いをかぎ、新しい発見に驚きの声をあげた。
目次
『新青年』の誕生とその時代
排日運動
国際情勢への視座あるいは次の戦争?
青年は民衆勢の象徴―普選問題
新しい翻訳文体の確立
「探偵小説」雑誌への道
江戸川乱歩登場
モダニズムへ向けて
「探偵小説」論は百家争鳴
犯罪科学
朔太郎と乱歩
めりけんじゃっぷ登場
MANGAマンガ漫画〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
5
雑誌「新青年」って、探偵小説専門雑誌のイメージがあったが、本書を読んで印象が変わった。創刊当初は農村青年を読者対象にしていたそうで、それが徐々に探偵小説を掲載していき、その後秘境・冒険もの、戦争小説などを掲載していったことがわかった。それはともかく本書はそうしたフィクションの動向を追うというより、当時の社会と世相がどうこの雑誌に影響し、そして「新青年」もそれにどうこたえていったかといった点に焦点があてられていた。100ページを超える総目次は、圧巻で資料的価値大。2012/05/20
丰
0
Y-202008/02/20