農本思想の社会史―生活と国体の交錯

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農本思想の社会史―生活と国体の交錯

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  • サイズ A5判/ページ数 368p/高さ 23cm
  • 商品コード 9784876980390
  • NDC分類 611.1
  • Cコード C3021

内容説明

これまでの農本思想研究は、日本ファシズムとの関わりでとらえるか、農本主義者のライフ・ヒストリーを追究するかでしかなかった。本書は、こうした二極化したとらえ方を批判的に見直し、「生活世界」の基底から、大正期の「“自然”委任型」、昭和恐慌期の「“社会”創出型」、戦時期の「“国体”依存型」という展開過程を提示する。

目次

序章 課題と方法
第1章 帰農思想の特質―新たな生活世界の創造
第2章 江渡狄嶺の「農行」思想―生活哲学の可能性
第3章 石川三四郎の「土民生活」―権力への抵抗
第4章 農本連盟の歴史的位置とその思想―農本イデオロギーと「地域社会」構想
第5章 規範と自治の「地域社会」構想―岡本利吉と権藤成卿を中心に
第6章 農本主義運動、その理念と現実との緊張―白山秀雄の行動と軌跡と兵庫・静岡両県での運動の実態を通して
第7章 総力戦体制下の農本思想―国体論との結合
第8章 戦時下農村保健運動の歴史的意味―滋賀県湖北地域を事例として
第9章 農民道場の「訓育」実態―大阪藍野塾卒業生へのアンケート調査から
終章 農本思想の歴史的・現代的意味

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てれまこし

12
農本主義というと封建社会の残滓が残る農村を基盤とした日本ファシズムのイデオロギー。そういう講座派的な理解に不満を抱き、農本思想の未償還の可能性が探られる。生命主義やトルストイなどの影響を受けた知識人、農村インテリの思想で、江戸時代の農本思想や実在の農村の否定であり、農村大衆からは乖離していた。だが、この乖離ゆえに総動員体制のイデオロギーとして取りこまれれていった。「農」とは「身体」に根ざした搾取のない生活の謂いであったという視点から、自然委任型、社会創出型、国体依存型の三つの農本思想の類型が評価されてる。2023/01/25

双海(ふたみ)

2
とてもお世話になった(なっている)本です。農本思想の研究史がまとまっていて大いに理解が深まった気がします。2013/09/20

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