内容説明
現在までの愛山研究を概観すると、そこに二つの問題が残されていたと思われる。第一には愛山の政治思想を正面から問題とした研究がほとんどないこと(彼の「国家社会主義」「帝国主義」について論じたものはあるが、政治思想全体の考察には及んではいない)、第二には愛山が研究対象として取上げられる場合、彼の思想の一面のみがとり出され、彼の思想構造全体がそれ自体として問題にされることがほとんどなかったことである。本書はもとより右の問題を全面的に取扱うものではないが、それに対する一つの試みとして意図されている。
目次
山路愛山における「史論」と「政論」
明治日本の「社会帝国主義」
キリスト者愛山の明治思想史論
史論家愛山の日本資本主義発達史論
幕臣愛山の家康論
ポスト福沢世代の青年達
「文明批評家」三宅雪嶺
内村鑑三不敬事件
民友社グループの史論と政論